2024年12月6日金曜日

カルロの奥さんのニューディを大勢の食事用にグラタン風に仕上げる


イタリア大家族が集まる日曜のランチなどにも良い、立派なプリモピアットです。


とても美味しく見栄えの良い料理なのに、関連エピソードが個人的すぎて他人が聞いても面白くないだろうと躊躇しこのレシピを投稿するのが遅れていました。


このニューディと呼ばれるレシピ、Gnudiと書くけどNudi(ヌードの複数形)で「裸」という意味。


使う食材は主にほうれん草とリコッターチーズ。そう聞いたらイタリア料理通の人が最初に思い浮かべるのはラビオリのはず。

ほうれん草とリコッターチーズはラビオリやトルテッリなどのイタリア風の餃子のようなパスタの具の代表的なもの。


ラビオリ 

(写真の様にそれ用の器具を持っているとあっという間に作れる優れ物)

Photo©Fugzu


トルテッリまたはトルテッリーニ

(餃子の様に生パスタ一つ一つ包んでいきます。当然手間もかかる。)

Photo©Angelo.Muratore


そして「衣」になっている生パスタなし、「衣なしの裸」という意味で具だけをお団子にして茹でた料理をGnudi(ニューディ)と呼ぶ。


最も簡単で一般的なのは、ニューディ(ほうれん草とリコッターチーズのお団子)をセージで風味をつけた溶かしたバターに合えて食べる方法。

この方法はバターが苦手な私は個人的にあまり好きでないが、バター好きの人は簡単なので是非試してみて下さい。


写真は4年前に最初に作ったセージ・バターで仕上げたニューディ

お団子が歪ですが、、、、、



次に一般的なのはトマトソースで食べる方法。この食べ方はトスカーナ地方に多いらしい。


でも今回は大勢の会食用に作ったので、熱々をサーブできるように、オーブン皿にトマトソースを敷き、ニューディを並べ、パルメザンチーズを振ってオーブンで20-25分ほど焼きグラタン風にしました。


ニューディを茹でる際に形が崩れないよう4、5個ずつしか茹でられないので、大勢の分をその場で作って熱々を出す、というのは難しいのです。


この料理を知るきっかけとなった話はレシピの後に。



<材料>> 4人分 (写真は8人分)


<お団子用>

・リコッタチーズ 250g

*あれば羊乳のもの。なければ牛乳のリコッタでもOK


・ほうれん草 生で 500g


・卵 1個


・小麦粉 30g


・パルメザンチーズ


・塩・胡椒


・ナツメグ



<トマトソース用>


・トマトピューレ 500g


・ニンニク 1かけ


・オリーブオイル



<トッピング用>


・パルメザンチーズ 適量



<作り方>


1・ほうれん草は茎の硬い部分を取りよく洗います。

(イタリアだとほうれん草には泥がついているのが当たり前なのです)

*写真はお行儀の悪いイタリアのほうれん草。日本のほうれん草は柔らかいので茎の大半は使えると思います。


2・大きな鍋に山盛り1を入れ、水なしでそのまま火にかけます。2、3分でボリュームが数分の一になります。


3・葉から出た水分だけでそのまま6-7分煮ます。




4・3を煮てている間に、リコッタは水っぽければ水を切り、下ろした、または粉状のパルメザンチーズと混ぜておきます。


5・3を火から下ろしザルで水を切り、冷めたらまた握って水を切り、細かく刻んでおきます。


6・4と5を混ぜ、塩、胡椒、ナツメグを加え、塩加減が適切か味見をし必要があれば加減します。



7・6に卵を割り入れます。


8・7に小麦粉を少しずつ玉にならないよう振り入れます。


*材料に記載の小麦粉の量は目安で、ほうれん草やリコッタチーズの水分や卵の大きさにもよるのでお団子を作りやすいくらいの硬さまで小麦粉を加えます。



9・8を直径3センチくらいの丸いお団子にしてくっつかない様さらに小麦粉をまぶしておきます。



10・鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、1回に5個程度9のお団子を落としていきます。


浮いてきたら、火が通ったということなので、壊れない様に一つずつ穴あきオタマで引き上げ、水を切ります。


11・その間にフライパンにオリーブオイルを少々熱し、ニンニクをひとかけ潰して香りを付け、ニンニクの表面が若干色ついてきたらトマトピューレを加え15分ほど煮込みます。

煮終わったらニンニクは取り出します。


12・適切な大きさのオーブン皿に11のトマトソースを並べ、その上に10のお団子を並べます。

*このままサーブしてもOK




*今回は視覚的にもゴージャスに見えるようお団子の上に別に取っておいたトマトソースをポイントで入れ、


さらにオーブンで焼いた時に見栄えがいい様に、パルメザンチーズを散らしていますが、最後のトッピングのトマトソースとパルメザンチーズは省略もOK



焼き上がり








****


この料理を知ったきっかけ


淡い好感を抱いて、でも付き合うというところまでは行かなかったがほのぼのと思い出せる存在、というのは誰にでも一人や二人、いや何人かいるのではないだろうか。

(ここで登場するカルロは今まで何度か登場したカルロスとは別人です。)


カルロは当時私のボスの恋人の大学時代の仲間だった。卒業後も彼女と何か設計を一緒にしていた様で、時々私の勤めていた事務所に顔を出した。私に好意を持っている風でとても優しく暖く、当時多かった前傾姿勢で迫って来るタイプとは対照的。迫ってこられるとほぼ条件反射で逃げ出す私にしては珍しく、彼の好意的な態度は心地よく受け止めていたが、それ以上の関係にもならなかったのは、イタリアとはどういう国かろくな知識もなく日本の仕事の延長線上で「海外職業経験」とやってきた私にこの国のカルチャーショックは相当なもので、毎日の仕事と生活で精一杯だったから。まさかこんなに長く定住することになるとは思ってもいなかった頃のことだからだと思う。



***


そんなカルロから30年ぶりにコンタクトがあったのは、2020年の春、新型コロナが猛威を振るった1回目のロックダウンの真っ最中だった。中国本土外で初めて感染の大爆発したイタリアは、重症者、死者の多さから西欧で一番に全国ロックダウンに踏み切った。


必需品の購入目的以外は外出禁止という厳しいロックダウンで、窓から町を見下ろしても通る人は稀だった。イースター用の食料品の買い出しに通った近所の交通量の極めて多いブエノス・アイレス大通りは、午後の3時でもガランとしていた。


普段家に籠って仕事している私でも、出かけていけないとなると家にいるのはかなり苦痛だ。だから人との接触を愛するお出かけ好き社交好きのイタリア人にとって外出禁止は禁固刑並みの辛さではないかと思う。初めの2、3週間近所の人たちはみな地域のSNSグループなどで連絡を取り合い、時間を決めてバルコニーに出て国歌斉唱や往年のヒット曲などを合唱していた。ひと月も経った頃に自然消滅したのは新型コロナで死者の多くでた近県の人達が何人か、「歌を歌うのはやめて欲しいと」SNS上で訴えたからかもしれない。


そんな時期だったので普段連絡不精の私も、懐かしい人とコンタクトを取ったりする機会が増えた時期でもあった。小学校時代の親友達と数十年ぶりで繋がったのもその頃だった。


30年ぶりにカルロからコンタクトがあったと言っても、電話がかかってきたわけではなくSNS上でフォローがあっただけ。初め誰だか思い出せず、知らない人からのフォローかと思った。


2日ほど経って聞いたことある名前だったなぁ、、、と考えてみて思い出した。彼だ。一気に懐かしさがこみ上げてきて、即フォローバック。


建築家の彼の投稿は彼設計の建造物や建設中の現場の写真が多く、次に愛犬の写真と、奥さんの作る料理の写真。


ある日、「今日はニューディ。」という何となく嬉しそうなコメント付きの、それまで見たことのない料理の写真が載っていて、早速調べて作ってみた。


1回目のロックダウンはかなり厳しいものだったので、その期間料理に凝っていた人は多かったと思う。家でパンを焼く習慣がその時ついた、という人も珍しくない。私はタミーと頻繁にレシピ交換をしていた。


カルロはSNSの写真を見る範囲、幸せな家庭を持っている感じ。少しメッセージを交わしただけで、マントバ に住んでいる彼には会ってはいない。

会って見て、いまだにいい雰囲気でも困るし、がっかりするのも嫌だから。


花束は今回の夕食会のプレゼント






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