2024年5月17日金曜日

簡単妙味・その2・著名パティシェ、クナムとフェデリコ教授のチョコにヒントを得たオリジナルレシピ ー 前菜&おつまみ ゴルゴンゾーラ・チョコレート

昨年の7月にノートを始めたので今年初めて創作大賞に応募しています。

私の投稿は基本フードエッセイで、レシピのみではなく、イタリア生活で色々な人に教わったレシピを必要があればアレンジし、一緒に過ごした時間をエピソードとともに綴りイタリアの食文化の豊かさを伝えたいという意図で書いています。


投稿するレシピは、教わったものを自分流にアレンジしているものも多いですが、創作大賞のレシピ部門の応募はそれでいいのか、自己開発レシピでなければいけないのか不明なので、今回はオリジナルレシピ、ゴルゴンゾーラ・チョコをご紹介します。


このゴルゴンゾーラ・チョコはミラノのパティシェのエルネスト・クナムが2015年の万博関連のイベントで作ったものと、ミラノ工科大機械工学科元教授フェデリコ先生の作ったチョコレートがヒントとなって生まれました。


チョコレートですが、これはお菓子ではなく前菜やお酒のつまみに大好評の自慢の一品。


作るのは極簡単。


パティシェ、エルネスト・クナムとミラノ工科大元教授フェデリコ先生のチョコレートとそのアレンジの経緯に関してはレシピの後に書きます。




<材料> 3、4人分 (12個分)


・ゴルゴンゾーラ ピカンテ 約75g

*ゴルゴンゾーラにはドルチェとピカンテがありますが。これは必ずピカンテで作ります。

*日本語表記はピカンテのようですがイタリア語ではピッカンテと発音


・ブラックチョコレート 約40g



<作り方>


1・水を入れた鍋に湯煎用の小手鍋を火にかけ、小手鍋にブラックチョコレートを割って投入します。




2・1の温度が上がりチョコレートが溶けるのを待つ間に、ゴルゴンゾーラ・ピカンテを一口大に切ります。大きさは好みで、こんな感じで口に運びたい、という大きさに切るのでOK.




3・1のチョコレートが溶けたら、2のゴルゴンゾーラを一個ずつ入れ、転がしてゴルゴンゾーラの全ての面にチョコレートを絡ませます。




4・オーブンペーパーなど付着しにくい表面の上で冷まします。

チョコレートが固まったら出来上がり。




*急いでいる時はチョコレートを絡ませた後30分程度冷凍庫に入れれば固まります。

*室温だとその日の気温により硬化時間は異なります。


*このチョコの皮膜は薄いのであまり暑い日には向きません。春、秋、冬の3シーズンにお楽しみ下さい。



*少しだけ食べるから美味しい、と思うタイプのおつまみなので少量サーブする際の盛り付けも提案します。


盛りつけ例・1 台皿にローリエの生の葉の上に一つ一つ置いて



盛りつけ例・2 台皿に笹の葉を敷いて



盛りつけ例・3 シャンパンクープグラスに盛りつけ

*ブランデー、アルマニャック、ウイスキーなどにもよく合うので一緒に写真を撮ってみました。





*****


パティシェ、エルネスト・クナムの万博関連のイベント用のチョコレート


2015年のミラノ万博は地球に食料を、生命にエネルギーを (Feeding the Planet, Energy for Life)がテーマだっただけあって、期間中市内あちこちで料理、食関連のイヴェントがあった。


話すのがあまり上手でないシェフ達のつまらないトークイヴェントなどもいくつかあったのですが、私が参加した中ではクナムのものだけが参加者全員に実際作ったものを味見させてくれるサービス精神200%のイヴェントで突出して記憶に残っています。


ミラノのチョコレートで有名なドイツ生まれのパティシェ、エルネスト・クナム。ドイツ名なので本来はアーネストと発音表記すべきですが彼のベースのミラノでは、イタリア語読みにしてエルネストと呼ぶのが一般的。なのでエルネストと書きます。


余分なおしゃべりはなく、作り方を丁寧に説明してくれ、シェフの鏡!と感心しました。


この日に紹介されたプラリネ・チョコレートは、上質のブラック・チョコレートの中にりんごの生ジャムとフォアグラが入ったもの。


りんごの生ジャムは林檎をみじん切りにしお砂糖と合わせて一晩冷蔵庫で寝かせたもの。

水分が出るので使う前に余分な水分は除きます。


余談ですが、こうして作った生ジャムは冷蔵庫で何日か日持ちするので、作っておいてジャムとしてパンに塗ったりも可能です。加熱も、面倒な瓶の消毒、真空加工も不要で自家製時短ジャムとして便利です。


エルネスト・クナムのこのプラリネ・チョコレート美味しかったので自宅で出来るようアレンジを試みました。

自宅でプラリネを作るのは器具がないと難しいので代わりに、ブラック・チョコレートで作ったカップの上にりんごの生ジャムと貰い物のフォアグラを乗せて大勢の会食で前菜として出してみたら好評でした。



2015年、市内のキッチン&家具会社のショールームで行われた

エルネスト・クナムの万博関連のイヴェント風景



エルネスト・クナムのりんごの生ジャムとフォアグラのプラリネ・チョコ



エルネスト・クナムのサイト

https://www.eknam.com/it/home_page


食材の取り合わせも妙味だったが、チコレート自体の質も極めて高かった。



*****



フェデリコ教授のチョコレート


フェデリコはミラノ工科大で長年機械工学科教授を務め、今はリタイヤしている。

パオラのクネアツの家の下の階にセカンドハウスを持っているので、クネアツで同時期に滞在する時は、ほぼ毎日のように一緒に食事をする。


クネアツのことはこちらで:

https://note.com/kajorica/n/n884385510971


エンジニア系の学者には少なくないが、常に何かを考えている。

考える内容が実際に必要ある無しとは無関係に、とにかく何かを考えている。


例えば、ある朝「昨夜、イタリア国民を全員マッジョーレ湖に放り込んだらどのくらい水位が上がるか計算していたんだ。」とか。。。。


いつもそんな調子なので、話を聞いていると面白い人だ。

マッジョーレ湖とは奥さんのチェチリアの実家のあるミラノの約北80kmにある湖。

フェデリコはイタリア最北のスイスとの国境近くのその町に自前のヨットを停泊させている。


普段は奥さんのチェチリアが料理をしているがフェデリコも時々料理をする。

学者が一度何かを始めるととても凝るのは東西同じ。

だからフェデリコも一度お料理を始めるとかなりマニアックに凝る。


彼の自慢の一品にお手製チョコレートがある。


凝り性なので大理石板の上でチョコレートをよく練るのだという。

大理石板の上でよく練ると、仕上がったチョコレートがツヤツヤに仕上がるのだそうだ。


フェデリコのチョコレートは、型で成形した、一見普通のお菓子のチョコレートだが、中に入っているものがかなり特別。

チョコレートの中にチーズやモスタルダ(脚注1)など、かなり意外なものが入っていることが多くて、「味の遊び」が楽しい。




フェデリコのチョコレート

見ただけでは中身の味のサプライズは分からない

デザートとして食後に食べる。




*****



二者のチョコレートのアレンジの経緯


エルネスト・クナムのチョコレートは自宅で作る場合、カップ型のチョコレートを大勢分作るのは結構な手間で、あまり手間のかかるものは、面倒でリピートしなくなる。


それにフォアグラはあまり買いたくない。

買う人がいる限り、製造は続くから。


私はベジタリアンではないのでお肉も食べる。でも、フォアグラの製造工程は普通の食肉の「飼育>屠殺」とは異なり「虐待>屠殺」に近い。それを想像すると、食べて美味しくてもあまり嬉しくない。


そこでフォアグラではなく、ちょっと癖のあるチーズとチョコレートを合わせてみたらどうだろうと考えた。


***


一方、フェデリコのチョコレートの中でもゴルゴンゾーラ・ピカンテの小さな破片の入ったものは特に味の取り合わせが好きなのだが、フェデリコのように大理石のプレートの上でよく練る云々という辛抱は私にはない。

ここでもあまり手間のかかるものは、面倒でリピートしなくなる、と考える。


そう私の料理は基本、簡単料理なのだ。


なので前出のエルネスト・クナムのチョコレートの前菜のようにフォアグラと林檎ジャムをゴルゴンゾーラに置き換えることにする。


林檎ジャムがなければカップやプラリネに仕上げる必要もなく、チーズに直接湯煎で溶かしたチョコレートでコーティングすれば良いことになる。


というわけで、試しで作ってみたこのゴルゴンゾーラ・チョコレートが評判で、数年前から我が家の定番料理になっています。



脚注1)

イタリアロンバルディア州クレモナ生まれの、果物をマスタード風味のシロップにつけた伝統的な保存食。フルーツのシロップ漬けにピリッと舌を刺激するマスタード風味が加わった甘辛食材。主な用途としては茹で肉料理(ボッリートミスト)などと一緒にサーブし、単調になりがちなお肉料理に甘辛のモスタルダでアクセントを加える、イタリアならではの肉料理の付け合わせ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/モスタルダ



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