小中学校時代の親友のオクがインスタグラムにチーマディラパにパルメザンチーズをトッピングしたパスタ料理の写真を載せていて、思わず「違うでしょー。チーマディラパにパルメザンチーズなんて合わないでしょう。」と言ってしまう自分に反省。
イタリアに来て間もなかった頃は伝統料理に何か奇抜な素材を一つ加えただけでムンクの叫びのような顔をするイタリア人て変だ、と思っていたのに何十年も住んでいると自分もそうなってくる。
ちなみにオクのお姉さんはイタリアに住んでいた事もある上、イタリア食材の輸入を仕事にしているので、当然彼女もイタリアの食材にもイタリア料理にもはかなり通じている。
そんな事を言ってしまったのは、イタリアでチーマディラパを使った代表的なパスタといえばチーマディラパのオレッキエッティだからなのだと思う。
チーマディラパのパスタは2種以前にも紹介しましたが、いずれもかなりシンプルな味付けです。
100%家庭料理! 簡単ヘルシー、タミーのチーマ・ディ・ラパのパスタと初対面のミラノのレントゲン
https://cucina-kajorica.blogspot.com/2023/11/100.html
ミラネーゼとプリエーゼ、オレキエッテ・コン・チーマ ディ ラパ
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今回はチーマディラパの温野菜のご紹介。
この温野菜のを食べると、昔レストランでアレッサンドロというヴィジュアルアーティストと彼の女友達とチーマディラパを食べることになった時のことを思い出すので、その経緯と芸術作品の趣向に関するエピソードをレシピの後に書くことにします。
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<材料> 1-2人分
・チーマディラパ 250g
・ペペロンチーノ 1個
・ニンニク 1カケ
・オリーブオイル 大さじ1
・オイル漬けアンチョビ 1-2切れ
*ベジタリアン、ビーガンの方はオイル漬けのアンチョビの代わりに生姜おろしを少々加えると、味が引き締まります。その場合は塩を足してください。
<作り方>
1・チーマディラパは柔らかい葉の部分だけを選びよく洗い、大きすぎる葉は手で半分か1/3にちぎっておきます。
2・中華鍋にオリーブオイルを入れ火にかけ、潰したニンニクとちぎったペペロンチーノとオイル漬けアンチョビを弱火で熱し、アンチョビを溶かします。
3・2のアンチョビが溶けたら1を加え、蓋をして弱めの中火で蒸し煮にします。
*イタリア人は普通たっぷりの熱湯で茹で、2に加えて炒めますが、その方法だと旨味や栄養が湯に溶け出してしまいそうな気がして、私はこのように調理します。
4・時々かき混ぜながら7、8分で出来上がり。
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チーマディラパのオレッキエッティとアレッサンドロと「夢のミルク」
アレッサンドロにはちよ子さんの家の会食で知り合った。
もう20年近く前のことだ。
うちから4キロくらい離れたちよ子さんの家で知り合ったのだが、話をするうちに、彼は目と鼻の先ほどのところに住んでいる事。私と同じくらい自転車が好きな事。ほぼ同じ年であること。その日二人とも自転車だった事がわかり、自然と一緒に自転車で帰宅した。
アレッサンドロの家はうちから200mくらいの距離で、同じアパートの最上階を住まいにし、地上階のガレージを仕事場にしているとの事で、別れ際に「これがスタジオのインターフォンだから、近くを通ったら押してね。」と言われた。
友人宅の会食では初対面の人とも積極的に話す私だが、やたらに電話をしたり、訪ねて行ったりということはあまりしない。相手が興味深い人であるか否かに関わらず。だから、そのインターフォンを横目で見ながら何度も押さずに通り過ぎて3週間くらい経った頃、彼の家の前でバッタリ会う。
「その後全然連絡くれなかったじゃない!俺はここにいるのに!いつでも来てよ。」と。
その年の早春に母が亡くなって、私にしては珍しくちょっと風にさらされているような淋しい気持ちの時期だったので、仕事がひと段落してから会いに行く事にする。
ヴィジュアルアーティストといってもピンからキリまでいて、日本だったら所謂「自称画家」と呼ばれる人から、作品を売るのもプロモーションをするのもきちんとしたギャラリーが付いていて、作品の制作費用もギャラリー負担というアーティストがいるが、彼は後者で、それなりに名前の通ったアーティストだった。
ところが、その広いガレージを改装したアトリエに入るともう一瞬で「ああダメ。。。」
もちろん彼の作品が、だ。
作品が悪いとか酷いとかいうのではない。
過剰な程の表現力も、歪んだ人体も絵画でも彫刻でも、この種のアートは全くもって、苦手だったのだ。
「雪割草」と名のついた陶器の彫刻は横たわった歪んだ体から植物が生えていて、それは非常に美しく、怪しく、同時に私には生理的に受け付けられないような拒否感を持った。
一応私も美術大学出身なので、良い作品か悪い作品かと聞かれたら、間違いなく良い作品と答える。オリジナリティーも完成度も高い作品だ。でも好きかと聞かれたら、迷わず嫌いだ、と答えるような作品だった。
そして残念なことに拒否感を持つような作品を作るアーティストは人も好きになれない。
アーティストというのは往々にして、まして彼のようにある程度成功している人というのはエゴも自尊心も強いのが常。当然彼は私の「凄い」とか「素敵」とか「興味深い」とか言う評価を期待していたのだと思う。が、心にもないお世辞の言えない性格。作品にはノーコメントにした。
かなり不服そうだった。
私だって、言って欲しいとわかっていることを言ってあげられないというの辛いのだ。
でも言えなかった。
その後暫くしてまたバッタリ会ったときだったか、女友達二人と食事に行くから来ないかと誘われたので、行く事にした。
その晩トラットリアで皆で注文したのがチーマディラパの温野菜だった。
彼の友達でアートギャラリーに勤める、とても私とは友達にはなれそうにない女性がウエーターとあれこれ話し、「アンチョビは少しだけ入れる、ニンニクは刻まずに入れ香りをつけるだけにする、ペペロンチーノも入れよう」と、カスタム化した注文をしていた。
彼の女友達二人は当然のことながら彼のことを凄く優秀なアーティストだと評価していて、それを言葉にして言ってあげられるタイプの女性だった。
そしてアレッサンドロは私に向かって「彼女らが俺の付き合う女友達なのだ」と妙に横柄なトーンで言った。俺と言うのに様をつけて「俺様」と言いたそうだった。
私が評価しなかったのによほどプライドを傷つけられたのかもしれないが、普段同業のデザイナーのエゴだけでも辟易しているのに、そこにエゴの強いアーティストが加わってはたまらない。。。
その1、2年後、アレッサンドロはイタリア人の新しい彼女とアメリカに移住したとちよ子さんから聞いた。
そのまた数年後、一時帰国をした時に乳母車を押している彼を見つけた。道の反対側の私を見つけて避けるように迂回していたが、こちらが先に見つけ呼び止めた。
作品とは異なり、子供は素直に絶賛できた。
その後は全く会っていないし、彼の展覧会という話も聞かない。
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久々に彼のことを思い出したのは4年前のヴェネツィアのビエンナーレでキューレターの美術評論家チェチリア・アレマーニが「夢のミルク」というテーマとした時。
「夢のミルク」と言うテーマはシュルレアリスムの画家レオノーラ・キャリントンの絵本のタイトルの引用で、キューレートの主旨は自分自身を再発明し、身体を変えることができる魔法の世界との事だった。
そう説明されれば聞こえは良いが、中にアレッサンドロの作品があっても全く不思議のない、あるとあらゆる人体や動物の体の変形や奇形の作品のヴァリエーションで膨大な量の作品が選ばれていた。
苦手だと思う作品群もこれだけ集まれば壮観。文化人類学ならず文化想像人類生物学の百科事典を見るかのようで納得でき、近年最も充実したアートビエンナーレになっていた。
そして、アレッサンドロの作品もなかなか良いのではないかと思えるようになった。
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最後に4年前のヴェネツィアのビエンナーレ「夢のミルク」の写真をいくつかご紹介します。
アレッサンドロの作品ではありません。