夏になり、猛暑が続くとほぼ毎日の様に作るのがこのカスパチョ。
火を使わずに出来る野菜たっぷりのスープ。美味しく、とても清涼感があります。
このレシピの基本はイタリアのメジャーレシピサイト、ジャッロ・ザッフェラーノの「アンダルシア風ガスパチョ」を参考にしていますが、カルロスがマドリード生まれのお母さん直伝のレシピで作った物と、味には大きな違いはありません。
カルロスのお母さん流と比較して大きな違いは二つ。
一つ目は、ミキサーにかけた後、丁寧に裏漉しをしてとても滑らかに仕上げること。これはとても手間と時間がかかるので私はいつも省略してしまいます。味は変わらないので。
もう一つの違いは野菜ばかりでタンパク質が不足するガスパチョにスライスしたゆで卵を最後にトッピングで添えること。
これをマドリード風と信じていたのですが、今調べたところによるとサルモエフォ(Salmorejo)と別名を持つ、コルドバ発祥のガスパチョのヴァリエーションの様です。
https://ricette.giallozafferano.it/Salmorejo.html
子供にバランスの取れた栄養をと思う母の気持ちが伝わってくるようなヴァリエーションです。
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同じガスパチョという名でも全く異なるのはスペインの映画監督ペドロ・アルモドバルの『神経衰弱ぎりぎりの女たち』の中に出てくるガスパチョ。
スパイシーな野菜の入ったトマトジュースという感じ。
ステファノとアルモドバルの映画『神経衰弱ぎりぎりの女たち』のガスパチョとクロノロジカル芸術鑑賞に関してはレシピの後に。
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・トマト 約200g
*できるだけ味の濃いものを選びます。今回はピカデリーを使いました。
カルロスのお母さんはペリーニという品種を、アルモドバルの映画の中ではラマートをつかています。
https://cucina-kajorica.blogspot.com/2023/09/blog-post.html
野菜本来の味が決め手の料理なので、品種に関わらず、入手可能な範囲で最も味の濃いものを選びます。
・きゅうり 中1本
・赤ピーマン1/4 緑ピーマン1/4 または 赤ピーマン 半分
・赤玉ねぎ 中半分
・パン 約80g
*どのレシピを見ても「乾いたパン」と書かれていますが、余って「乾いたパン」でも大丈夫という意味で勿論新鮮なパンでもOKです。
・白ワインビネガー40ml
*白ワインビネガーは一般的ですが、私はアップルビネガーを使うのが好みです。
・エキストラバージンオリーブオイル
・塩
・胡椒 多めに
*野菜料理に胡椒を入れるのは好きでないのですが、ガスパチョには胡椒がよく似合います。
・ニンニクひとかけ
*普段は私は入れません。
・好みでゆで卵1個
*ビーガンの人は無しでどうぞ。無くても十分美味しいです。
・好みで粉状のペペロンチーノを少し加えても美味です。
***ジャッロ・ザッフェラーノの「アンダルシア風ガスパチョ」を参考にしたと書きましたが、何回も作るうちに、分量オリジナルレシピから離れはかなり我流になっています。
特に赤ピーマン半分、赤玉ねぎ中半分というのは、野菜が中途半端に残らなくて好都合なのです。
<作り方>
1・きゅうり、玉ねぎ。ピーマン、トマトはざく切りにしてミキサーに投入して、ミキサーをオンにします。
*これは私のミキサーが満水1ltと小さめなのでスペースを作るために一度オンにしますが、大きめのミキサーをお持ちなら全ての材料を入れてミキサーをかけるのでOK
2・ミキサーをかけ、野菜のボリュームが少し減ったら、パン、ビネガー、塩、胡椒、オリーブオイルを加え再度ミキサーをかけます。
3・上品に仕上げたい場合は裏漉しをしますが、私は省略します。
4・好みで、事前に作って、冷やしておいた茹で卵を、スライスまたは二つ割にしてトッピングします。
*茹で卵は省略しても全く問題はありません。
ちょっと今回のテーブルセッティングは清涼感のないセッティングになってしまいました。反省。今度良い写真が撮れたら差し替えます。
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アルモドバルの映画を初めて見たのは1999年公開の「オール・アバウト・マイ・マザー」で、それから新作が出る度に必ず見る様にしている。
2002年にロードショー公開された「トーク・トゥー・ハー」は今でも傑作だと思う。
アルモドバルの映画はユーモアたっぷりで、彼自身はゲイだと公言してるのに、(というか、だからかもしれないが)女性心理の描写が極めて緻密で繊細なので歴代の大好きな映画監督のTOP5に入る
「オール・アバウト・マイ・マザー」以前の作品は全て、年代順にステファノにDVD を借りて観た。
1988年公開の『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(原題:Mujeres al borde de un ataque de nervios)はまだアルモドバルがメジャーになる前の作品で、ドタバタ劇に近いが、随所に彼らしいユーモアだけでなく心理描写の繊細さがあり、視覚的には独特な色使いが見られる。
アーティストのステファノと知り合ったのは、彼の個展の一般向けのオープニングパーティー後、画廊のオーナーの個人宅の厳選された招待者だけのパーティーに友人に連れて行ってもらった時だった。
丁度、昼も夜も仕事一辺倒の仕事漬けが数年続いた後の少し時間ができた時期だったので、つまりは仕事が減った、という事だったのだけれどその後の心配は全くせず、やっと人間的な生活に戻ったことを純粋に楽しんでいた時期だ。
そんな時期に、今まで見たことのない全く新しいタイプの人、ステファノはとても新鮮な存在だった。
同い年の彼は当時既にイタリアのビジュアルアート界で高い評価を受けている人だったがそれよりも、私の決して短くない人生で知り合った人達の中で、最も頭脳明晰で驚かされることが多かった。
頭の回転が早く、あらゆる事に掘り下げた知識があり、そこから発展させる考察も非凡なものがあった。
ビジュアルアートティストの多くはエゴが強く興味の対象が自分に向いていて、面白いけど少し付き合うとげんなりする人も少なくない中、ステファノの興味は外へ、限りなく広く外に向かっている様だった。大勢の前だと極めてデリケートに洗練された会話ができるのに、二人になるととても内向的でもしかしたら高機能自閉症ではないかと疑うことも屡々の特別な人。
色々なマニアックな映画の他にアルモドバルの映画全作DVDで持っていて、会う度に1本ずつ借りて観ていた。
私は映画も、視覚芸術の作品も、小説も、好きな作家の作品は出来るだけクロノロジカル(年代順)に全作見る、(または読む)ことにしている。
そうすると単に一作、一作の良し悪しではなくその作家の歩んできた道が見える。作家自身とテーマが明確になる。
どんなテーマから始めて、どの様に展開し発展したか。どんなテーマは途中で放棄し、どんなテーマは一生続けたか、など。そういう見方をすると、マイナーな作品も転機としてとても重要であると判ることがある。
例えばドストエフスキーの「罪と罰」から「カラマーゾフの兄弟」までの後期の五大小説を深く理解するのは、一般にはマイナー作品という認識で、イタリアでは廃刊になっているシベリア囚人時代の手記「死の家の記録」が極めて重要だ、と私は思う。
この『神経衰弱ぎりぎりの女たち』もステファノに借りて年代順に全て見たアルモドバル映画の一つだった。
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『神経衰弱ぎりぎりの女たち』で女優のペーパが家を出て行った恋人イワンが家に寄ったら引き留めようと、彼の好物のガスパチョを睡眠薬入りで用意するシーン。
この材料のシーン写真だとトマトが圧倒的に多い。ちゃんと料理考証しているのかは不明。
その後、恋人イワンは家に寄らず、紆余曲折ありテロリストの捜査に来た警察やその他の客に睡眠薬入りガスパチョを出すシーン。
中央の若者は若き日のアントニオ・バンデラス。
「このガスパチョ、変なもの入れただろう?!何が入っているんだ!?」と尋問されて材料を答えるシーン。
「トマト、きゅうりを少し、唐辛子、玉ねぎ、にんにくひとかけ。それから、、」
(ここで刑事二人は寝込む)
「、、、それから、オイル、塩、お酢、乾いたパン、水。」と続ける。
料理番組ではないので分量までは言ってくれない。。。
この映画を見る限り、材料の写真の量とペーパが刑事に言う材料と大きめのグラスに入れてサーブすることから、スープというよりは、スパイシーなトマトジュースという感じ。
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