2025年6月20日金曜日

そら豆のペーストのパスタと薄皮を剥く時間について(パオラRの家のお料理V)


 この料理は食材の取り合わせとしては今年の春先に投稿したこちらと同じ。

https://cucina-kajorica.blogspot.com/2025/04/blog-post_25.html

この食材で作るパスタソースです。

この料理はパオラRの田舎の家に2度目に滞在した時、初日の夕食後に作ったもの。

先週も書いたようにパオラRは、食事が終わるとすぐにまた料理を始める。

至極簡単な料理ですが、少し手間がかかります。

時短=ベター、という時代の流れとは完全に逆行していますが、「薄皮を剥く時間について」は奥深い意味もあると思うので、その話はレシピの後に。


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<材料> 2人分


・好みの形のパスタ 160g


・そら豆鞘付きで  約600g


・ペコリーノチーズ 約150g

*入手が難しければパルメザンで代用可 パルメザンなら100g


・オリーブオイル 適量


・パスタを茹でる塩 茹で湯の1%


*塩はチーズと茹で湯の塩分だけで十分で味付けには不要。




<作り方>


1・そら豆はまず、鞘から外します。




2・取り出した豆は更に薄皮を剥きます。ここがこの料理で唯一手間のかかる部分。

*日本のそら豆で作る場合は薄皮を剥き、更に2、3分茹でることをお勧めします。




3・2と小さめに解した(または切った)チーズをブレンダーに入れ、オリーブオイルを少しずつ加えながらペースト状になったらブレンダーを止めます。

*写真ではそら豆とチーズを別々にブレンダーにかけていますが、これはブレンダーが小さいため。




4・1%の塩をした湯でパスタを茹でながら3に茹で湯を大さじ3、4杯加え味をなじませます。




5・パスタが茹で上がったら3と混ぜて出来上がり。







これは先週パプリカのソースと二種のパスタを作った時の写真






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薄皮を剥く時間について

この料理はパオラRの田舎の家に2度目に滞在した時、初日の夕食後に作ったもの。その日はまだルチアも到着していなかったのでパオラRと二人で簡単な夕食をとった。

パオラRは食事が終わるなり、お皿だけキッチンに運び、テーブルに残ったランチョンマットの上に鞘付きのそら豆をどさりと置いた。

明日の食事の支度を始めたのだ。客の私としてはただ眺めている訳にもいかず、「手伝う必要なんてないのよ。」というパオラRの言葉を聞かなかったことにして当然手伝うことにした。

ごく簡単な料理だが、そら豆の薄皮を剥く作業だけ手間がかかる。

こういう作業は一人でするより二、三人でした方が楽しい。

二人でそら豆の薄皮を剥きながら最近ポッドキャストで聞いたグイド・マリア・ブレラのインタビューの一節を思い出しパオラRにその話をしてみた。

グイド・マリア・ブレラというのはイタリアのビジネス・エグゼクティブで作家。品の良い美男でイタリア語で「輝くように」と形容される程に頭が切れる。著名人なのでインタビューは数多いと思うが私が聞いた「ワン・モア・タイム」というお気に入りのポッドキャストはインタビュアーが必ず冒頭に生まれ育った家庭環境や両親との関係、子供の頃の事を色々と訊く。インタビューを生い立ちから始めると、人は驚く程心を開き、精神分析のカウンセリングのようなインタビューになるのが面白い。

そのロングインタビューの中でグイド・マリア・ブレラは「僕はオレンジは誰かが薄皮を剥いてくれなければ食べない。僕の最初の妻もオレンジの薄皮を剥いてくれていた。」と断言した。

私はそれを聞いて「なんて甘やかされた男なんだ!」と思った。

が、彼は落ち着いた声で続けた、「何故かというと子供の頃、母がオレンジの薄皮を剥いてくれていた。それは食事が終わったら直ぐどこかに遊びに行ってしまう息子をテーブルに取り留めて、色々な会話をする時間を出来るだけ延長させる方法だったのだと思う。」と。

それから、両親を思い出した。そういえば父が八朔や夏みかん、葡萄を食べる時、母が必ずその場で根気良く薄皮を剥いていた。

母は婿取りの家庭で育った逞しい女性だった。何か問題が起きると「これをどう解決するか。」と即座に向き合う様なタイプで昭和一桁生まれの女性には珍しかったのではと思う。


専業主婦なんてとんでもない、自分の好きな物を買うのに一々夫の許可を得るなんて嫌と、もちろん家計を助ける目的と一石二鳥で平日はフルタイムで外で仕事もしていたし、料理や掃除などの基本的な家事だけでなく、裁縫、編み物は手編みも機械編みも、と何でもこなし、趣味のクラッシック音楽のコンサートにも頻繁に出かけていて「時間がもったいない」と言うのが口癖だった。

そんな多忙な主婦が果物の薄皮を剥くなどという無駄にさえ思える作業に時間を惜しまないのが長い間不思議だった。

が、グイド・マリア・ブレラの話を聞いて、もしかしたら両親も彼の母親や最初の奥さんがオレンジの薄皮を剥くことで持ったような、親密な時間を楽しんでいたのかも知れないと思えるようになった。


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