その朝はルチアとアンジェリカと一緒に、5キロほど離れたところにセカンドハウスを持つフランチェスカを誘ってトレッキングに出かけたが、パオラ Rは家に残って料理をしていた。
出がけに私が前菜を作るため持って行ったタッジャスカ・オリーブを冷蔵庫から取り出し使う体勢にあったので、「あーダメ、それは使わないで!」と頼んでから出発した。
なのでこのパプリカのオーブン焼きには本来はタッジャスカ・オリーブを入れてもよく合うはずです。
パオラRは田舎の家にいる間ずっと料理をしているかガーデニングをしている。
13時過ぎにトレッキングから帰宅した時、このパプリカのオーブン焼きは、既にセッティングされたテーブルの上に乗せられていた。
パオラRの不安の話はレシピの後に。
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<材料> 4人分
・パプリカ 赤か黄色 3個
*写真が全て黄色のパプリカなのはルチアの好物だから。
・パン粉 2-3掴み程度
*パン粉が不足していたのでポレンタ用のとうもろこし粉も入っていましたが省略可。
・オイル漬けアンチョビ 半身 12切れ
・イタリアンパセリ 必須
・マジョラム あればベター省略可。
*パオラRは「マジョラム...」と言ってから「適当に入れるのよ。」と微笑んだ。
・タッジャスカ・オリーブ あればベター省略可。
<作り方>
1・パプリカはヘタの近くに楊枝で穴を開けオーブンの上段で40分焼き、取り出したら熱いうちに紙袋に入れ蒸らします。(蒸らすと薄皮が簡単に剥けるようになります。)
*この工程はオーブンを使わず、中華鍋などで薄皮が全面焦げるくらいまで焼くのでも、同様に出来ます。パプリカ3、4個までならその方が省エネかつ時間省略で作れます。
2・1を15分程度蒸らしたら、ヘタと種を取り、薄皮を剥き、縦に4分の1にして、オーブン皿に内側を上向きに並べます。
3・パン粉、オイル漬けアンチョビ、イタリアンパセリなどの香草とオリーブをみじん切りにしたものを混ぜて2の上に乗せます。
4・3をオーブン中段で更に30分焼き出来上がり。
*このお料理は翌日も味がなじんで美味しいです。
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パオラRの不安
5月上旬パオラGとクネアツに行ったので、パオラRと50年来の友人のパオラGにパオラRの亡き夫はどんな人だったのかと尋ねると意外な返事が返ってきた。
「30年付き添った亡き夫も、アルフォンソもとても落ちついた男性で彼女の不安を和らげるのには最適だった。」という。
不安?
私が持っているパオラRの印象は、いつも好奇心で目をキラキラさせていて、綺麗な物や美味しい物や興味深い人を見つけるのが上手い、まだ少女の雰囲気の残る年配の女性というところだ。服装の趣味も良い。菜園の畑仕事の野良着からエレガントな服、男性的なオーバーサイズの服など、何の違和感もなく着こなし、TPO全く考慮せずいつでも「これから山登りに行く」と言わんばかりの服装をしているパオラGとは大違いだ。
さらに脚線美を誇り、痩せているのだと長い間勘違いしていたら、野良着になった時にとても豊かな胸であることにも気がついた。若い時はさぞモテただろうと想像する。
まだそんなに長く深い付き合いではないので私の人の観察不足なだけかも知れないが、そんなに心配性の様にも、自信がないようにも見えない。
むしろ40半ばで子供が成人していてもなんとなく精神的に不安定なアンジェリカには「他人に認められるかどうかを基準にしてはダメよ。」とアドバイスしていた。そんなセリフはある程度自分に自信のある人しか言えないと思う。
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不安、心配性と言われ唯一思い当たるのは、なんでも先に先にとオーガナイズすること。
そう言えば、今年初めて受けたイースターの連休の滞在の招待は二ヶ月も前だった。
そんなに親しくない人からの、イースターの連休の招待をそんなに早くに受けたのは初めてだった。親しい友人たちがイースターどうするつもりなのか分かってから返事したかったので、少々戸惑って「まだ時間が大分あるからもう少し近くなったら話しましょう。」と返事をした。
5月末にルチアにクリスマスの話を持ちかけた時はルチアと顔を見合わせて爆笑した。
もちろん最近二度目に未亡人になり子供はいないので、イタリアのクリスマスなど、日本のお正月のように、全国のイタリア人が家族で集まるような機会に一人で残らないためオーガナイズするのは理解可能だ。
イタリアのシングル女性にありがちな一人で残りそうになるとキリキリするような場面を見たことがないのは、彼女は交際範囲も広く一人で残るような状況にならないように事前にオーガナイズするからなのだろう。
もう一つはお料理。
パオラRは田舎の家にいる間料理をしているか、ガーデニングをしている。
庭は広大なのでガーデニングには困らない。
パオラRは食事が終わるとすぐに次の料理を始める。
単にオーガナイズの良い人なのだ、と思っていた。
食事が終わるとすぐに次の料理を始めるだけでなく、先に先にと作る。
とてもお料理上手なのだが唯一不思議に思うのは、早過ぎるくらいに作ること。
イースターのロシア・サラダも二日前に用意した。あれは当日作った方が美味しいと思う。
今週末のパオラGの誕生日用のジェラートは四週間前に作って冷凍庫に待機している。
まあジェラートなんて二日前に作ろうが四週間前に作ろうが味は変わらないのだろうが少し驚いた。
パオラGの誕生日の翌日用のパプリカのパスタソースも二週間前に作って冷凍庫に眠っている。
もちろん翌日、翌々日食べた方が美味しい料理だってある。
作りたて、焼きたて、揚げたて、蒸したて、となんでも「出来たて」をモットーとしていた母の料理で育った私にはロシア・サラダを二日前に用意するのは理不尽にさえ思えた。
当日のタイムスケジュール
もしかしたら私の出来立てサーブ同様単なる習慣なのかも知れないが、深層心理に何かあるのかちょっと探ってみたくなった。
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下の写真はパプリカのオーブン焼きの前に
プリモピアットとして出されたセイボリーパイ。
これは今まで食べた中で唯一熱々で、口の中を火傷しそうだった。。。。
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