今年のアンナのお誕生日は、「生憎誕生日当日がアパートの住人会議で夕食会は出来ないの。まあ近いうちに誕生日とは関係なく夕食会をするから。」とのことだった。
ところが翌朝電話があってランチのお誘い。
二人だけだけどウチで、との事なので翌日なんだからお祝いしようと「スイーツ持って行くね。」と。
その日のランチではケーキを作る時間はない。
キャンドルを立てるのなら小さくてもホールケーキがいいな。そうだ、今栗の旬だからモンブランなんていいな、などと近所の美味しいお菓子屋さんロヴィーダに行ってみる。
ロヴィーダは最近ではクロワッサンが2ユーロ(360円)もするのであまり行かなくなっていたお店だ。因みにイタリアでは朝食のカプチーノとブリオッシュ(クロワッサンのことをイタリアではこう呼ぶ)は定番の朝食で、日本で言ったら白米とお味噌汁のようなものなのに。
ロヴィーダの冷蔵ウインドウのモンブランは6人分と1人分しかサイズがない。
1人分ではなんだから、と6人分の値段を聞くと、女主人が重さを測り、振り向きながら「結構するのよ、、、これは、40ユーロ。」
40ユーロって今のレートでの円に換算すると7千円以上になる。。。。
「ごめんなさい。予算オーバー。」とUターン。
他の自家製お菓子を売っているパン屋なども回ったが、モンブランはない上、食べてみたいような美味しそうなホールケーキもなかったので仕方なく、ペルー料理のお店で楽しい感じのするケーキを2人分の大きさに切ってもらった。
ロウソクを1本だけ立てる。
そんな経緯で、その後も食べそびれたモンブランが頭に残る。
そういえばモンブラン、作った事はもちろん、イタリアでは食べた事さえはなかった。
それにロヴィーダのモンブランは日本やフランスで見るようなお蕎麦色のもじゃもじゃしたそれではなく、フランス語でモンブラン、イタリア語でモンテ ビアンコと言う名前そのもので「白い山」の形をしていたのも気にかかる。
ネットでフランス語でmont blanc recipe「モンブラン レシピ」と検索するとほぼ日本で見るようなモンブランの画像がヒットして来るが、イタリア語で同様の検索をすると大半は白い山だった。
フランス語で「mont blanc recipe」と検索すると
イタリア語で 「monte bianco ricetta」と検索すると
作ってみたい気持ちがムクムクと膨らんでくる。
それに先週スイーツのレパートリーが少ないことを反省したばかり。
ネットで検索していくつかのレシピを読んでみると、意外と簡単。
栗を剥く手間がかかるくらい。
ただフランス風にお蕎麦状にするには特別な器具が必要になる。
イタリアのレシピサイトではマッシュポテトマシンを推奨している。
お菓子のプロの由希子さんは日本でモンブランの器具を買ってきているのだという。
でもロヴィーダ風に仕上げるならそれも不要。
まず勉強のためにロヴィーダで一人分のモンブランを購入、解剖する。
下の方の白は生クリームで
本体の白はセミフレッドと呼ばれるアイスクリームの様
意外と栗の量が少ない。
セミフレッドはちょっと真似しにくいかも。
全体はメレンゲの円盤の上に乗っている結構手の込んだお菓子だ。
まあ私はここまで凝った事はせず、一般的なレシピに従って栗のピューレを生クリームで覆うつもりで、試作用の栗を半キロ購入したところに、アンナから電話。
来週月曜夕食会を開くから、と。
「じゃ、モンブランの試作がまあまあだったらモンブラン人数分作って行くから。」と約束。
他に来る予定のマリアパオラとジョアンもダイエット中だから甘さ控えめでバターも使わないモンブランは良いはずだ。
さて試作開始。
<本体材料> 3-4人分
・栗 良質のもの 500g > 中身のみで300g
・牛乳 約300ml (*栗と同量)
・砂糖 60g
・塩 ひとつまみ
・バニラポッド 一つ *今回は袋入りで代用
・カカオ 大さじ 1
・ラム酒 30ml
*個人的な好みでは3倍にしてもいいと思う。次回は倍で試します。
<仕上げ材料>
・生クリーム 250g
・粉砂糖 大さじ 1
・カカオ 大さじ 1弱
その他、飾り付けは食べる機会に応じてゴージャスにしたりシンプルにしたり工夫してください。
<作り方>
1・栗はよく洗い、水から茹でます。一般的なレシピでは殻を剥きやすいように茹でる前に包丁を入れるとありますが、ピューレにするのでその必要はありません。
2・圧力鍋で10分、普通に茹でて30分茹でたら一個取り出し火が通っているか確認します。
3・暖かい方が剥きやすいので、茹で栗は2、3個ずつ鍋から取り出し、半分に切って小さじで中を掻き出します。
*この作業の時、黒や茶色になっている栗は苦いので外すのが大切です。
4・3の作業が終わったら重さを測り、同じ重さの牛乳と砂糖指定量、バニラを鍋に入れ火にかけ中火で20分煮ます。
5・4が終わったら十分に吸収されていない牛乳を別の容器に取る、とレシピにはあったのですが、出来上がりがやや硬めだったので、少量の牛乳なら取らなくても良いと思います。
6・5をブレンダーにかけ熱いうちにカカオを振いながら混ぜ込み、ラム酒も加えます。
7・6をラップで包み、煮ている間に作っておいた円錐の型で概ねの形を整えます。
*型
がなくても、手で整形も可能かも。私は職業柄こういう作業に慣れているので作りましたが。
8・7を冷蔵庫で最低30分休ませます。
9・8が十分に冷めてやや硬くなったら、生クリームに粉砂糖を足し泡立てて8をデコレーションします。
肉眼では真っ白でも綺麗なのですが、フォトジェニックでないので、ちょっとカカオを振ってみました。
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