今年の夏休みは地ビール屋巡りがテーマだったので、食とは切っても切れない飲み物の事、食関連のこのブログでご紹介することにします。
ビールと地ビール屋の紹介が主な旅行記でいつもの様なレシピの紹介はありません。
その代わりと言ってはなんですが、ベルギーで自転車旅行を企画される方、地ビール屋巡りをされたいという方は詳細お気軽にお問い合わせ下さい。
以前はよく旅行中に日記をつけていたけれど、今回に限ってつけていない。
日記をつけておくと、写真以上のその時の感情が鮮やかに思い出せるのに。
既に忘れつつある記憶を辿って書くことにします。
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「自転車旅行ならベルギーの地ビール屋巡りが楽しいよ」とクネアツの若者に勧められたのは数年前の事。それ以来ずっと気になっていたけれど、その時のアドバイスに「でもマウンテンバイクの方がいいかも」というのがあり、ロードバイクしか持っていない私にはそれが引っかかっていたのと、自転車を分解して長距離高速鉄道に乗せるにしても、車に乗せて行くにしてもベルギーはやや遠し。なかなか実現出来ないでいたのを今年決行することに。
実際に行ってみたら「マウンテンバイクの方が良い」というのはガセネタだった。よく考えれば重たいビールを出荷するビールメーカーが山の中や舗装道路のないところに建っているというのはあり得ない。早く気がつくべきだった。
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旅行の醍醐味はまず計画から始まる。
ベルギー地ビール屋の事が詳しく書かれているこのサイトと
https://www.visitflanders.com/en
(上記は英語版ですが、イタリア語版を参照。)
L’Oro e la Schiuma(金と泡の意)というイタリア語の6回で合計約3時間のポッドキャストを参考にして訪問したいビール屋をリストアップ。
これらの資料によると、工場訪問のできるビール会社は以下の地図の赤丸のようにフランダース(ベルギー北半分のフラマン語を話す地域)全体に点在している。もちろん訪問できない工場は他にも沢山あるようだ。
自転車走行距離で約550キロ。最後の訪問地からブリュッセルまで自転車で戻ると650キロくらいになるだろう。
1日の走行距離は45-70キロ程度な上あまり高低差のない道のりなので無理のない予定の組み方に思える。
今年はシルビアが体調不良で来ない。私とパオラだけなら以前は1日100キロ近く走ったこともある。
出発間近に各ビール工場の訪問可能日をチェック。例えば週末休業もあるかと思えば、週末しか開いていないところもある。ルーベンの有名なビールメーカーのステラ アルトワなどは週7日間朝9時から夜9時までガイドツアーを企画しているが向こう3週間ほぼ予約で一杯。各工場の予約可能なスレッドが空いている日と、私たちの日程から考えビール工場を外す。
初めルーベン出発を考えたが、ステラ アルトワを訪問できないならブリュッセル出発の方が良いかと変更。訪問可能なビール工場を元 にKoomotというサイクリングやハイキングに使うアプリで、前半4日の行程を作成。
赤丸 工場訪問地
後半5日はこんな感じ。
大枠はこれでOK。その時の気分や状況に応じてフレキシブルに予定は変更する。
私もパオラも出発した3日後の3時ににどこで何をしているか分かっている様な窮屈な計画は嫌いだしつまらない、と思っている。
後半は次回ご紹介します。
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では出発。
1日目 ミラノ > ロンシャン > シャンパネー (自動車)
ミラノから前輪だけ外した自転車を車に積み込み出発。
いつも鉄道で楽に通過しているスイスは車で抜けるの意外と大変。
世界最長のゴッタルド トンネルが近づくにつれ渋滞がひどくなる。
トンネル内で渋滞しない様に入る前に通行量を規制しているので「渋滞の名所」と言われるほど。8月だからバカンス旅行者も多い。
トンネル前で相当長時間待つことになりそうなのでトンネルを避けサンゴッタルド峠を越えることに。
もちろん景色も気持ちもその方が圧倒的に良い。
峠を越えた後、高速道路の分岐点で私がパオラに話しかけたせいか、何度が道を間違えてスイスを抜けたのは午後中程になっていた。
フランスに入ると、お馴染みの地名が沢山目に入る。仕事の取引先はフランスに多いから。
しばらく走ると道路ぞいの主要観光案内の大きな看板に「ロンシャンの教会」のイラストがある。
この近くなんだ。。。
「ロンシャンの教会」モダン建築の父、ル・コルビジェの名作と言われる建築物だ。
昔まだ磯崎新の事務所に勤めていた青木淳さんが「ル・コルビジェのその他の作品を見ると論理的に納得するけどロンシャン見ると欲しくなっちゃうの。」と言っていたのを思い出す。
全くの予定外だがパオラと顔を見合わせて「行ってみようか?」と。パオラはデザイン建築とは無関係の仕事だが、今の恋人が建築家なので後で彼との話題にもなるだろう。
主要道路から少し離れた「ロンシャンの教会」は小高い丘の上に建っていて、夏休み用のラフな服を着ていてもいかにも建築家とわかるような訪問者が沢山いる。
以前フランチェスカが「ピーター ズントーの設計したヴァルズの温泉は建築家で一杯で、水着着ていても建築家だとわかるのが怖い」と言っていたのを思い出す。
教会の後ろ側をぐるりと周り中に入ると、ステンドグラスから差し込む光が最も美しい時間に到着したのだとわかる。
数時間座っていても飽きないような心地よい空間だ。
外に出て一周。有名なアングルからのファサードの写真も撮る。
「建築の宝石」という感じのロンシャンの教会を後にしたのは夕方だった。ブリュッセルまではまだ400km以上あり、途中フランスのどこかで1泊しなければいけない。
ガソリンスタンドを探し幹線道路と逆方向に少し行くと小さな湖が見える。
湖を見て今日はこの辺で1泊しよう、と決める。
この辺に泊まると分かっていたらもう少し長くロンシャンの教会の中にいたかったな、とも思う。
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2日目 シャンパネー > カンティヨン > ブリュッセル > グリムベルゲン
翌朝は一路ブリュッセルへ。
高速料金はないので高速道路とは呼ばないのだろうが自動車専用道路沿いは森、森、森とモノトーンな景色が続く。ナンシー、メスなど馴染みのあるフランスの地方都市も郊外を通り過ぎ、ルクセンブルグも通り過ぎてベルギーへ。
「カンティヨン」Chantillon
ブリュッセルで訪問予定の地ビール屋「カンティヨン」は市内に残った唯一の地ビールメーカーだという。街の南側になり、イタリアから到着する私たちは南からアプローチするので中心部に行く前に寄ってみようと決める。
「カンティヨン」はブリュッセルの郊外、と言ってもイタリアなら「郊外の始まるあたり」と呼ぶ様な中心部に程近い郊外にあり、車で入ってくとアフリカ系の移民が多い。
あれ!夏休み中で閉まっている?と思う様な外観の「カンティヨン」の扉には「開いています。お入りください。」と書いてある。
入るとすぐに一般来訪者向けカウンターがあり、マーチャンダイズもそれなりに揃っている。
入るなり、「購入?それともツアー?それともバーの利用?」と質問される。
「ツアーしてからバーで飲みたい」と言うと、「今日はガイドツアーはないのでパンフレットを見ながら自分でまわって下さい。終わったらバーの入り口はあちらで」と。
言われた通りに瓶の並ぶ廊下を通って階段を上がると古い銅製の器具がここ狭しと並んでいる。今は使われてはいいない道具、と思われる。
「カンティヨン」Chantillon 写真
ツアーを終えてバーに行くと飲み物に値段がない。珍しいタイプを1杯ずつ注文しようと値段を聞くと「ツアーを終えたところ?それなら3タイプのビールのテイスティングも含まれています。」とのことで3タイプのビールを味見。
この「カンティヨン」はランビックと呼ばれるベルギー独特の酸味の強いビールで有名だ。
味見したところ、頻繁に飲みたいと言うものでもないがなるほど!と言う味で、慣れると癖になるかも。3つ目のキリックと呼ばれるさくらんぼのジュースの混ざったビールはその後、旅行全行程で癖になり、土産も大半はキリックを買い込んだ。
国外ではあまり知られていないがベルギーのスーパーマーケットのビール売り場の半分はキリック。
ただここ、と言うか後で分かったことだがベルギー内どこでもビールにはおつまみが出ない。メニューに食べ物もない。軽い朝食を取っただけでランチもまだ食べていなかった私たち、テイスティング用の少量とはいえ空腹でビール3杯はかなり厳しく、後で車に戻って残っていたクラッカーを平らげることに。
ツアー中の説明パネルによると「カンティヨン」が初めてランビックを輸出したのは1990年代で日本向けだったとのこと。
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「カンティヨン」を出て1週間以上車を停めておける駐車場探しにブリュッセルの中心部へ。Googleマップで出ていた駐車場が存在していなかったり、あっても地元の人が「ここは高いからやめた方がいい」という駐車場だったり、何よりも私より一世代上のパオラは、管理人と話せない無人駐車場というのは嫌なようで、彼女にしては珍しくナーバスになってしまった。
ブリュッセルは街も大きすぎてどちらを向いていいのかも分からず、有名なチョコレート屋にも寄らずにここからは早々に脱出しようと決め、ブリュッセルの北10kmにあるグリムベルゲンと言うトラピストビールで有名な小さな街に行くことに。ビールは修道院内で製造されているので工場見学はできないけれど。
宿を取り、さて夕食と小さな出かけたら大半のレストランは夏休み中で、やむを得ずピザ屋で夕食。
宿ではグリムベルゲンのビールを置いていたが、ピザ屋にはなくウエストマールを注文。
ウエストマールは後半訪問予定。
ミラノに戻ってみて気がついたのだがグリムベルゲンのビールはイタリアのメジャースーパーマーケットでも手に入る。
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3日目 グリムベルゲン > ゲント
若干の不安を残しつつも車はグリムベルゲンの公共露天無料駐車場に置いて自転車で出発。
今日の行程はグリムベルゲンから西へ向かいゲントまで。約65キロ。
ベルギー、特にフランダース地方ではオランダ並みにサイクルレーンが整備されているので幹線道路にも必ずサイクルレーンがある。
パオラは頻繁に自転車で山登りをしているので全く問題ないが、私は久々の長距離で少々厳しかった。以前は65キロなんて簡単に乗っていたのに。これは翌日一番重いギアのままだったことに気がつき変えたら楽になる。やはり平坦な道でも8キロの旅行荷物を乗せて走るのはやや軽いギアの方が良い。
途中ピンクの象のマークのデリリウム ビールの工場の前を通ったので、見学はできないが近所のバーでビールを味見。
ゲントに到着した時にはすでに地ビール屋の訪問時間を過ぎていた。
本末転倒だがまあゲントの街を見に行こう。
内陸部だが川と運河を利用し商業の栄えたゲントの街は期待以上の迫力だった。
ゲントの街
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4日目 ゲント > ブルージュ
昨日はKoomotが作ってくれるルートを頼りにし、最短の幹線道路をひたすら進むことになり景色は単調で今ひとつだった。そこでパオラが他の自転車仲間から「グーグルマップに尋ねると3種類くらい提案してくれる中に良い道がある」と勧められたのを思い出し幹線道路から外れて運河沿いを進むことに。
運河沿いには幅広い道路が自転車専用になっていて自転車の高速道路という感じ。生憎写真を撮り忘れ。
最新モデルのスポーティブな自転車に乗って、プロ、セミプロっぽいライダーが大勢猛スピードでトレーニングしている。
そういえばパリのオリンピックで優勝したのもベルギー出身の選手だった。
ゲントからブルージュまでは45キロ程度なので比較的早めに到着。
早速ブルージュの街に。
ベルギーのヴェニスと呼ばれる運河の街ブルージュはお堀で囲まれていてその周りに風車が配されている。
ブルージュの街には地ビールやが3つあり、内2件は平日でも訪問可能。
ブルージュ ゾット」(Bruges Zot)
街の中心部を散策した後、先に名前で選んだブルージュ ゾット(「ブルージュの馬鹿」の意)へ。ここではガイドツアーではなく、ざっと見回してから中庭のバーへ。
ツアーに参加しなくても見えるように配慮された
ガラス張りの工場の一部
「ブルゴーニュ デ フランドル」 Bourgogne de Flendores
その後中央広場に近いブルゴーニュ デ フランドル(Bourgogne deFlendores)にも寄ってみる。でも中には入らない。
ベルギーのビールは味が深く少量味わうもので、ドイツのビールのように大量に体内に流し込むのには不向き。梯子して大量に飲もうとは思わない。
後から調べてブルゴーニュ デ フランドルもかなり良く、ビールも美味しいと知りちょっと後悔。
ブルージュの街
夕食はベルギー名物で国民食と言われるムール フリット(蒸したムール貝とフレンチフライ)を併せて食べるもの)1回目。
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5日目 ブルージュ > ルースラーレ > ディスクムイデ付近
一般の観光客はブリュッセルからゲント、ブルージュと回ったらそのまま延長線上に西へ向かいオステンデに到着するのが普通だろう。
でも私たちは地ビール屋巡りが目的なので 、ブルージュから南下しルースラーレという普通の観光客は行かない街へ向かう。
街自体は特に観るものはない。(と言い切ってしまうとルースラーレの人に失礼なので、そう思う、としておこう。)またまた単調な田舎道を南に30キロ。
ここには有名なローデンバッハというビールメーカーがあり、複数のサイトで「ベルギービール屋巡りをするなら必見」とある。
ルースラーレでは探したわけでもなく、自然と駅前に着く。駅前のバーの日傘にローデンバッハのロゴが入っていて期待が高まる。
パオラが地元のおばさんに「この住所はこの近く?」と尋ねる。おばさんはわからなそうにしている。「ビールメーカーなのだけど」と付け加えると「ああ、ビールメーカーならこの道まっすぐの左側」地元の人はみんな知っているメーカーの様だ。
ミラノにも地ビール屋はあるが、どこにあるのかなんて私は知らない。
ローデンバッハの工場は駅から1キロ足らずのところにあった。
「ローデンバッハ」 Rodenbach
まず、門から見える煉瓦造りの古い建物がいい感じ。到着はやや遅めのランチタイム。庭にもテーブルは並んでいるけど中に入ってバーのカウンターでガイドツアー今からでも予約できるか尋ねると14時からあるとの事。
14時ガイドツアー開始。初めスライドで簡単に歴史を説明。
この日はあいにく工場の古い側が修復のため閉まっていて新しい側でビールの製作工程やブレンドの方法など説明を聞く。
ローデンバッハの工場風景
18世紀に軍医としてベルギーのこの地に駐在したドイツ人が地元の女性と結婚しこの地に定住してビール会社を始めたという。
工場前の邸宅はビール生産の増資を知るため売ってしまったが、ビールの水は今でもこの家の庭から取れる地下水を使用しているとのこと。
最後に巨大なビール樽の並ぶ倉庫へ降りる際に、樽へのライティングと音楽を交えたライトショーがある。訪問者たちから拍手が出る。
樽用の木材はフランスから取り寄せ、樽制作の説明スライドや大工工房訪問もあり、後から考えてもここが一番充実した工場訪問だったと思う。
ラストミニッツのガイドツアーは18ユーロだったが、1時間半のツアーが終わったのち、併設ショップでお買い物ができるプラスティックのコインを渡され、好きなものを選んでグラス一杯注文できる事を考えると、コストパフォーマンスの良いツアーだと思う。
訪問後にパオラが飲んだのは案内のガイドさんお薦め「ローデンバッハ・グラン・クルー」私はさくらんぼも入っているけれど渋い味の「ローデンバッハ・アレクサンダー」とても気に入った。
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訪問後はディスクムイデ方面で一泊すべく、また西へ20キロ程の所で宿を取ることに。
ディスクムイデでは本当はデ・ドレ・ブロワーズ(De Dolle Browers、狂気のビール屋の意)の工場も見学したかったが週末の午後しか開いていず、訪問は予約制。週末まで待てないので割愛することに。
翌朝はディスクムイデで朝食を取ろう。
パオラが宿の他の客に中に、ベルギー鉄道のインフォメーションの仕事をしていたという女性を見つけいろいろ相談し、ディスクムイデからオステンデに直接向かうのではなく、ネウポートという街を通ることを勧められる。また、オステンデから北上しオランダとの国境沿いを通ってアントワープまで自転車で行くという事前に練った計画は丸2日かかる上、途中特に見るものも特にないのでやめて、オステンデからアントワープまで自転車を電車に乗せておくことを勧められる。
日頃登りのきつい道を走るのが好きなパオラは、ベルギーの平坦で単調な道に退屈していたようで、逆に私は久々の長距離がきつかったので、その女性の提案通り予定を変更することにした。
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後半に続く
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