2025年1月31日金曜日

カノッティエリ・ミラノ(ミラノボートクラブ)のカラブリア風パスタとミラノの運河


とても簡単なパスタ料理です。

でもアリオ・オリオ・ペペロンチーノに常備食材のじゃがいも、アンチョビ、イタリアンパセリを足しただけで、かなり高い満足感のパスタ料理になります。


このレシピは昔勤めていた事務所の近所で時々ランチに行っていたカノッティエリ・ミラノ(ミラノボートクラブ)のレストランである日「今日のおすすめ」だったもの。

メニューにニューエントリーしたそれを皆で注文し、ペペロンチーノ入りで「なるほど辛い。」「なるほど確かにカラブリアではパスタにじゃがいもを混ぜ込む。」などと皆でコメントしながらその時はカラブリア風と納得して食べたけど、これが本当にカラブリア料理かには若干の疑問が残るので「カノッティエリ・ミラノのカラブリア風パスタ」としておきます。


ボートクラブの会員でなくてもレストランだけは利用できたので、事務所が極めて近かった事、近所に他に目ぼしいレストランがなかった事の他に、何よりボートマン達の集まるクラブのレストランはバタバタ忙しい仕事の合間の一時間の休憩でも、バカンス中のようなリラックスした雰囲気を味わえるのが気に入ってお弁当持参でない日は決まってそのレストランでランチをしていました。




グランデ運河対岸から見るカノッティエリ・ミラノ


ミラノの運河とカノッティエリ・ミラノ(ミラノボートクラブ)の話はレシピの後に。

今回は個人的な思い出のエピソードではありません。



材料写真


<材料> 一人分


・パスタ(スパゲッティかリングイーネ)80g


・ニンニク 1かけ


・ペペロンチーノ 1個


・アンチョビ 2切れ


・じゃがいも 1個


・イタリアンパセリ 適量


・オリーブオイル



<作り方>


1・パスタを茹でる水を火にかけます。


2・じゃがいもは皮を剥き一口大に切ります。




3・イタリアンパセリは洗ってみじん切りにしておきます。



4・1が沸騰したら水の1%の塩を加えパスタを投入します。


5・フライパン(写真は中華鍋)にオリーブオイルを熱し、小さく刻んだニンニクと手でちぎったペペロンチーノとアンチョビを入れ、弱火でアンチョビをほぐし、ニンニクが一部狐色になりかけたら火を止めます。



6・パスタが茹で上がる5分前に2のじゃがいもをパスタの鍋に投入します。

*例えばパスタの袋に「茹で時間11分と書いてあったらパスタを投入後6分にじゃがいもを入れます。




7・パスタとじゃがいもが茹であがったら5を再度火にかけ、具とパスタとじゃがいも3のパセリを混ぜ、ざっと炒めて出来上がり。






*****




ミラノの運河

ミラノには海も川もない。

国の首都に次ぐ二番目に重要な都市で、海運が中心だった中世から栄えて来たのに海も川もないというのはかなり稀な存在なのではないかと思う。


その代わりに運河が何本かある。

13世紀に用水路としてミラノまで達した水路は14世紀後半ミラノのドーモ建設が始まると膨大な量の大理石を運ぶ重要な水路となります。


ミラノの大聖堂 ドーモ Photo©Jiuguang Wang


実際ミラノの大聖堂ドーモは、グランデ運河の始まるマッジョーレ湖にほど近いカンドリアという採石場の大理石が主に使用されています。


https://www.duomomilano.it/scopri-chi-siamo/la-cava-di-candoglia/



現在のグランデ運河夜はレストランや飲み屋などで賑わう



運河の水を引いていた昔の運河脇の洗濯場


今でも残るのはナヴィリオ・グランデ(グランデ運河)とナヴィリオ・パヴェーゼ(パヴェーゼ運河)、マルテザーナ運河という三本ですが、他にいまだに地下を走っている水路もあり、ミラノは20世紀初頭までは町中に運河が張りめくらされた街だったのだそうです。


この赤線部は現在も地下を通る水路



数年前にSNS上のエイプリールフールでドーモ広場すぐ脇のビットール・エマヌエレ二世アーケードの中まで運河があったというフェイクニュースが合成写真とともに出回り、信じた人も少なくなかった。。。。(笑)よく見ればスケールが狂っているのが分かります。(笑・笑・笑)



エイプリールフールのフェイクニュース

左側はビットリオ エマヌエーレ2世 アーケード内運河(フェイク)




カノッティエリ・ミラノ(ミラノ・ボートクラブ)



そんな海も川もないミラノにもボートクラブが何軒かあります。

皆この運河でトレーニングをするのです。

中でも最も古いのが1890年創立のカノッティエリ・ミラノ。

ミラノの中心部から2kmほど郊外になり空も広くなるあたりです。

このパスタを出してくれたレストランもありますが50mのオリンピックプールなどもあるスポーツクラブです。


1930年代の男子チーム


1933年女子チーム


現在のボート乗り込み場








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2025年1月24日金曜日

マウロ名物 リーゾ・アル・テスタサル(テスタサル・ライス)

いかにも「男の料理」という感じの、大胆で、シンプルで、とても美味しい料理。

グルメ友マウロが時々作ってくれる。


インターネットでテスタサルを検索するとヒットしてくるのはテスタサルを使ったリゾットで、調理方法は一般的なリゾットのバリエーションだが、マウロのテスタサルは調理方法も出来上がりも全く違い、一般的なリゾットのの様にバターもコンソメも使いません。

日本のチャーハンのような出来上がりになるので、日本人の口にはとても良く合います。


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まずテスタサルとは何か。

ヴェローナ県ではペースト・ディ・サラミ「サラミ・ペースト」とも呼ばれ、サラミを長期熟成させるように塩胡椒などを加えて仕込んだ粗挽きの豚肉。


日本で入手が難しいどころかミラノでも難しい。

ですので、作りたい方は粗びき豚挽肉に塩胡椒を加えて丸1日置いたものを使用してなんとなく感じを味わって下さい。


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ヴェローナの南約30キロにあるポンテポッセロ出身のマウロのこの調理法はテスタサルを使った「料理」というより、「長期熟成するために仕込んだサラミ用の肉の塩加減が適切であるか味見するための方法」との事で、似たような調理法は現実でもネット上でも見た事がない。


マウロの田舎ポンテポッセロと夏の終わりのパーティーの写真はレシピの後に。


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シンプルさが粋な材料写真


<材料> 一人分


・リゾット用米 80g


・テスタサル (ペースト・ディ・サラミ) 80g


・赤玉ねぎ  半分ー1/4 なければ白玉ねぎ  写真は撮ろペアの赤玉ねぎ

*私はタマネギ大好きなので普段は1個丸々入れます。


・ローズマリー 一枝  (省略可)




<トッピング>


・パルメザンチーズ(粉状)適量


・シナモン(粉状) 適量




<作り方>


0・粗挽きの豚ひき肉によく塩胡椒をし1日以上冷蔵庫で馴染ませます。


1・小鍋にリゾット用米を洗わずに入れ、ボリュームで倍の量の水を入れ沸騰させます。

沸騰後は蓋をして弱火にして炊きます。途中リゾットのように混ぜたりせずに時々蓋を取って必要なら水を加え、リゾット程度にアルデンテになったら火を止めます。





2・お米を炊いている間にフライパンをよく熱しテスタサルを入れほぐします。油分はテスタサルから脂分が出るので不要です。できるだけ食材だけの味で調理します。




3・フライパン全体にテスタサルの脂分が馴染んだら、玉ねぎをざっくり縦に切り、(長すぎたオリジナルのマウロの調理方法だと半分に切っただけの玉ねぎを入れている。玉ねぎをざっくり刻んて他kぅさん入れるのは我流アレンジ)ローズマリーと共に2に加えます。




4・その間にパルメザンチーズ(が塊なら)を削り、粉末シナモンと混ぜておきます。




5・テスタサルに火が通り一部カリッとし、玉ねぎがしんなりしてきたら、ローズマリーを取り出し1のお米を加えて混ぜて出来上がり。





*先にも書いたようにこのレシピの起源は「「長期熟成するために仕込んだサラミ用の肉の塩加減が適切であるか味見するため」のものなので、通常塩胡椒は加えませんが、挽肉から自分で作ったテスタサルを使う場合はここで塩胡椒を加減してもOK.


6・頂く直前に粉状のパルメザンチーズと粉状のシナモンを混ぜた物をふりかけていただきます。

*チーズが苦手な人はこれは抜かしてもOKです。







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マウロの田舎ポンテポッセロ


数年前の夏休みマウロの田舎のポンテポッセロの家に招待してもらったことがある。

両親が住んでいた彼が育った家。


ポンテポッセロという小さな町で用水路と茂る緑に、昔見た母の田舎の信州のようで初めて見るのに懐かしく、思わず撮ってSNSに載せた写真は特になんということの無い被写体なのに、その夏の写真の中で一番評判が良かった。

「エルマンノ・オルミ監督の映画みたいだ。」という人も何人かいた。






何泊かしたが、当時大学生でヴェニスの大学に通っていた娘のノアが毎晩就寝前に食卓を翌朝の朝食用にセッティングして、朝起きるとコーヒーを入れるだけで朝食の支度が整っていた。

素敵な習慣だな、と感心した。




観光ポイントのようなものは特に無いけれど比較的近くにある小さな、古い教会


夏になるとイタリア各地で「サグラ」と呼ばれる露天の仮説レストランが出て、
近くの街の人たちで賑わう。
写真はキッチン裏の大規模な「グリル場」



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マウロの「夏の終わりのパーティー」


昨年9月中旬「夏の終わりのパーティー」というグループチャットの招待が来きた。


日本だと立秋は8月上旬だか、イタリアでは夏が終わるのは秋分の日と言われている。

一見季節のお誘いだがマウロ誕生日は9月末なのでお誕生パーティーとわかる。

招待者は40人を超えていて、彼らの家の近くの屋外のイヴェントスペースを借りてランチという企画。


もちろんメインはマウロ名物リーゾ・アル・テスタサル

この日は特別にその上にスペアリブが乗っていた。


その時の写真をいくつか。



マウロらの家の近くの屋外のイヴェントスペース



赤いエプロンはマウロの還暦の時に私がプレゼントしたもの。


赤いエプロンはマウロの還暦の時に私がプレゼントしたもの。
パイオーロと呼ばれる本来ポレンタ(とうもろこし粉)を炊く鍋でお米を炊く。


ベローナ県マントバ県の人達がイタリアで最も美味しいお米という
ポンテポッセロのバルガンティーニという農家のお米

ヴィアローネ・ナーノという銘柄のお米









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