2024年8月30日金曜日

アンナリータと夏のミラノ。プールサイドで仕入れたレシピ「愚か者のパスタ」オレキエッテ・アッラ・ミンキアータ

 


今週から仕事を再開している人も多いはずなのに、まだ、ミラノの街はまだなんとなくバカンスムードで、時間の流れ方が鈍い感じのするミラノ。車も人もまだ少ない。

来週になるとリラックスした感じの日焼けした人達でいつも通り街は賑わうのでしょう。


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「オレキェテ」とはプーリア州(長靴の踵)名物の耳たぶ型のパスタ。


「ミンキアータ」とはイタリア語を知っている人ならギョッとする様な、特に南イタリアで使われるスラング。意味の詳細はレシピの後に書きますが「馬鹿」とか「アホ」の様な意味でも使われるので、あまり生々しい訳は避け、ここでは「愚か者のパスタ」と訳すことにします。


パスタのレシピとしては簡単で、名前に反して美味しいので「愚か者でも美味しくできるパスタ」と拡大解釈して、図らずも教わったレシピを投稿することにします。


アンナリータと行った夏のプールのことと、リコッタ・サラータの簡単な説明ははレシピの後に。



<材料>  2人分


・オレキエッテ 160g *生のものがあればベター


・プチトマト 100g *必ず味の濃いトマトを選ぶ。


・ルコラ 一束


・リコッタ・サラータ 100g

*文末に簡単な説明を加えます。


・エキストラヴァージン・オリーブオイル

*好みでペペロンチーノ入りのオイルを使っても美味。またはペペロンチーノを砕いて加える。



<作り方>


1・オレキエッテは沸騰した湯に人数分投入し指定時間茹でます。


2・その間にプチトマトを洗い、乾かして半分か1/4に切ります。





3・ルコラも洗い、良く乾かして一口大に切ります。

*ルコラは茎も美味しいので茎は捨てずに切って混ぜます。




4・リコッタ・サラータは 荒目に下ろすか、フォークで細かく砕きます。




5・2、3、4を混ぜてオリーブオイルを混ぜる。

*好みでペペロンチーノを加えてもよく合います。

オリジナルのレシピにはありませんが胡椒も似合う様に思います。


*このままでパスタを入れずにサラダとしていただくのも悪くありません。



6・1が茹で上がったら5に混ぜていただく。






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もと敏腕マーケティング・マネージャーから思い切ってアーティストに転身したアンナリータはプラスティックのゴミでアート作品を作る。

地球環境問題が頻繁に話題に上る昨今のヨーロッパでは、彼女の作品は環境問題意識を高めるために強い説得力があるため、新聞雑誌に頻繁に取り上げられている著名人とも言える。


それでは彼女自身は地球環境にローインパクトな生活をしているかというと、イエスでもありノーでもある。


「私はバカンスに行くのだったらホテルは絶対5つ星じゃなきゃ嫌!」といつも言っている。「ああ、ふかふかの白いバスローブ。そういうのを私の体は求めているの。」と付け加える。その趣向は決して地球環境にローインパクトではない、と私は思う。


でも5つ星ホテルに長く滞在するような余裕のある同伴者は見つからない。だから、滅多にバカンスには行かない。。。バカンスでミラノの人口が2割くらいに減る8月中旬でも、アンナリータはミラノにいて仕事していることが多い。これはかなりのローインパクトだ。


人口が2割と聞けば、5人に一人は残っているのなら良いじゃない、と思う人も多いかもしれないが、バカンスに行かない様な人はあまり外出もしない。だから外出しない人が残る8月中旬のミラノはゴーストタウンの様になる。観光客で賑わう中心部を除いて。


まあそれでも本当に砂漠の様だった30年前に比べたら、だいぶ8月のミラノも暮らしやすくなった。



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アンナリータのありがたい申し出があったのは、今年7月上旬、まだ猛暑になる前だった。


「私が通っているスポーツジムは屋外プールが広くて素敵なの。会員登録していない知り合いを2回は無料で招待できるから、暑くなってきたら一緒に行きましょう。」と。


夏休み前に終わらせる仕事が一段落した暑い日に、アンナリータに連絡してみる。

「ねえ、素敵なジムのプールに招待してくれるって言っていなかった?」と厚かましく。。

快諾してくれて、8月上旬、私のバカンス出発前に一緒に行くことになった。


ジム非会員が入場料を払って入る場合はかなり高額な料金のプールなので平日のその日はすいていたが、午後中くらいの気温が最も高い時間帯に人が少し増えてくる。


40代から50代くらいの数人のグループが、私たちの隣に陣取って、あまり上品でない話をしているのが聞こうとしなくても耳に入って来る。

延々と男女関係の話をした後、一番声の大きい女性がもう一人の女性に向かい「あなた、ミンキアータ作れる?」と。


私は耳を疑った。


ミンキアとは、特に南イタリアで使われる男性性器を意味するスラング。

ミンキアータとはミンキアを動詞化して過去分詞にしたもの。

他にも似たようなスラングはイタリアでは多く、聴き慣れているスラング、時には自分で口にしてしまうスラングもあるのだが、ミンキア、ミンキアータというのは南部の言葉なので殊更に下品に響く。


レシピの話と理解するのには次のフレーズを待つ必要があった。


一番声の大きい女性が続ける


「簡単で美味しいのよ。」と。

「プチトマトはダテリーニを使って。。小さく切るでしょ。」

*トマトの種類に関してはこちらをご覧ください。

https://cucina-kajorica.blogspot.com/2023/09/blog-post.html


「ルコラは適当な大きさに刻むでしょ。。。」


「それからリコッタ・サラータを荒目に下ろして、オリーブオイルと茹でたオレキエッテに混ぜるだけ。好みでペペロンチーノを加えても良いわ。」


これででき上がり。


更に大事なアドバイスも加えてくれた。


「リコッタ・サラータなんてそんなに頻繁に使わないじゃない。でも冷凍しておくと便利よ。冷凍庫でなら1年くらいは持つし。」


とのことだった。


半信半疑でその場でネットで調べてみたら、本当にあった、オレキエッテ・アッラ・ミンキアータ

という名前のレシピが。内容はその一番声の大きい女性のと全く同じ。


家に戻って早速作ってみたら、簡単で美味しいのでご紹介します。


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<リコッタ・サラータについて>



リコッタ・サラータは南イタリアでは頻繁に使う食材の様です。

私は30年以上北イタリアに住んでいて、今回初めて聞きました。


言葉上では「塩をしたリコッタ」という意味ですがそんなに塩はキツくありません。

最近日本でも出始めている様ですが、フレッシュリコッタを10日以上熟成させたセミハードのチーズで南イタリア特産品。



写真の塊で約400g



一番声の大きい女性のアドバイス通り、4等分して約100gの塊にして半分は冷凍庫に入れました。






スーパーのリコッタ売り場。ヤギ乳や羊乳のリコッタなど色々並びます

リコッタ・サラータは一つだけ。

値段表示は100gの値段。以前は1lgの表示たっだのですが

近年のインフレで100g表示に切り替えた様です。


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2024年8月8日木曜日

余り野菜で作るナスのボート、手抜きヴァージョン

 


明日から夏休み。

今週来週は投稿はお休みしようと思っていましたが。。。


2週間近く家を空けるので冷蔵庫が空になるように上手く買い物したつもりだったのに、ナスが1個丸々残っている。。。


こちらでは一般的な丸い、大きな茄子。日本の丸茄子みたいな形状です。


そこで、昔から時々作るナスのボートのレシピを投稿することにします。


本格的なナスのチーズ焼きといえばパルミジャーナという料理がイタリアでは有名で、ラザーニャのパスタの代わりに揚げナスを重ね焼きする料理。とてもパンチのある1品で、手抜きでは作れない料理です。

パルミジャーナ=パルマ風という意味ですが、この料理はパメザンチース(パルマのチーズ)大量に使うからそう呼ばれるのですが南イタリアの料理です。


今回のレシピのこの作り方だと、ナスのチーズ焼きでも手軽に作れ、見栄えも良いので時々作ります。


大昔料理雑誌で見たもので、何度か友人が来た時に作りましたが、今回は文章も手抜きでエピソードは無しにします。





<材料>


・丸茄子 1個


・プチトマト 一掴み


・モッツアレラチーズ 1個


・バジリコ 1枝くらい


・塩・胡椒・オリーブオイル



<作り方>


1・丸茄子は半分に切って、実の部分に格子の切り目を入れます。

*この作業は後で火が通った時に繰り抜きやすいように行います。






2・フライパンにオリーブいオルを多めに敷いて熱します。

*沢山作る場合はオーブンで作りますが今日は二人分なのでフライパンで。




3・オイルの温度が上がってきたら、皮を上に伏せるように茄子を置き、蓋をして中火から弱火で全体に火を通します。





4・プチトマトは半分に切り、潰すようにして、中の水分を出します。さらにまた半分に切ります。

*手を抜かない場合は先に皮を湯むきしておくと更に美味しくできます。




5・バジリコは洗い、モッツアレラチーズと一緒に適当な大きさにちぎっておきます。




6・2のナスに火が通ったら(約15分後)ナスを指で押してみて窪んだらOK。




7・6を火から下ろし、ナスの柔らかい部分をくり抜きます。




8・くり抜いたナスを、4と5と混ぜて、塩胡椒して味を整えます。




9・7の皮の側をボート(器)に見た立てて、8を盛り込み、極薄くオリーブオイルを敷いたフライパンでチーズが溶け、水分が飛ぶまで火にかけます。




*今回は手抜きなのでフライパンで作りましたが、この工程はオーブンで作った方がカリッと仕上がり美味しいです。


では皆様、まだまだ残暑が厳しいですが、良い夏をお過ごしください。