ジェネピーは、 アルプスの標高1800~3500メートルの高山地帯に自生する小さな芳香植物でヴァッレ・ダオスタの代表的な同名のリキュールの製造に使用されている。
その女性は2002年から標高1400メートルの畑でジェネピーを「飼いならす」ことを試みているという。そしてリキュール作り用やハーブティー用の乾燥ジェネピーとジェネピーのリキュールを製造しているので、時々プロモーションのためこういう屋台をイタリア各地に出しているのだという。
ミラノ郊外の小さな町で見つけたジェネピーの屋台
乾燥ジェネピーとリキュールのジェネピー各種とその他色々が並ぶ
ヴァッレ・ダオスタの山によく行く私にはお馴染みの植物とリキュールだけれど、ミラノ近郊の小さな町でこんなニッチなものを目にするのはかなり意外だった。
カルロスは最近膝を壊し登山はドクターストップがかかっていて(だからその日曜は自転車で出かけたのだが)元は健脚の山好き。だけど、山の家をヴァッレ・ダオスタとは反対方面に持っているためかジェネピーのことは全く知らなかった。
ジェネピーは地味な色で目立たない小さな草だが、リキュールにすると独特の風味が良いためクネアツ付近ではトレッキングがてら取りに行く人が多く、、というか血眼になって探す人が多く、、、年々減少。天然のものはそのうち絶滅してしまうのではないかと心配するほど希少な高山植物。
通常自生のジェネピーは高さ5、6センチと小さいが、その栽培されたジェネピーは2、3倍の長さ。
「え?ジェネピーなのにこんなに長いの?」と思わず質問。
「栽培したものだから」と彼女。
特に展示品の中のジェネピー・ビアンコ(白いジェネピーの意)というのに目を引かれた。無色透明のジェネピー・リキュールだ。そんなものが存在する事すら知らなかった。
興味津々で彼女の販売しているジェネピー・ビアンコを試飲させてもらい、作り方も説明してもらった。
伝統的なジェネピーはアルコールに40日間漬け、そのあと水と砂糖を沸騰させたものを加え10日間味を馴染ませ完成となる。レモンの皮で作る南イタリアの有名なリキュール、リモンチェッロなどもほぼ同じ作り方をする。
一方ジェネピー・ビアンコはガーゼで包んだジェネピーをアルコールを入れた容器の中で密閉し、ジェネピーとアルコールに直接コンタクトを持たせないまま、容器の中で回る空気を通して(?)または蒸発してまた液体に戻るアルコールで(?)ジェネピーの風味を与えるのだという。
ちょっと魔法みたいだ。
そのためアルコールに直接漬け込むより長く、倍以上の90日がかかる。
私はパオラのつくる美味しい伝統的なジェネピーに慣れていたがそこで味見させてもらった白いジェネピーもとてもデリケートで気に入り、カルロスは白いジェネピー・リキュールのボトルを1本、私は自分で作るべく乾燥ジェネピー一袋(約7g)を購入してミラノに戻った。
ジェネピーとアルコールを容器の中で密閉し90日間待つ間、色々な人に「今ジェネピー・ビアンコを作っているの。こうやって作るの。知ってた?。」と話すと、この不思議な作り方に皆関心を持つ。
化学を専門にしているダニエレなどはキラリと目を光らせていた。
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ここではジェネピー・ビアンコと伝統的ジェネピーのパオラのレシピの両方を記載します。
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材料写真
ジェネピー・ビアンコ(白いジェネピー)
<白いジェネピー 材料 アルコール 0.75 リットル分>
・天然ジェネピー 53本 または乾燥ジェネピー 一袋=約7g
・リキュール用アルコール 0.75 リットル
・山の水 0.95 リットル *なければ町の水でもOK
・砂糖 150g
<作り方>
1・ジェネピーをガーゼなど通気性の高い布で包み、リキュール用アルコールを入れた密閉容器に、アルコールに触れないように設置する。
2・1を冷暗所に90日間放置する。
3・90日目に分量の水と砂糖を煮立てる。
4・3が冷めたら2に流し込む。
5・そのまま10日間なじませ出来上がり。
完成写真
グラスとボトルはアンティークバカラのシャトーブリアンとローハンを使用しています。
http://galleria-kajorica.blogspot.com/2015/09/baccarat-chateaubriant.html
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パオラの伝統的ジェネピー
<パオラの伝統的ジェネピー 材料 アルコール1リットル分>
・生の天然ジェネピー 70本 (天然ジェネピーは高さ6-7cm)
*ネットで検索したら一般的なジェネピーに入れる砂糖の量はアルコール1ltにつきジェネピー20本。パオラのジェネピーが美味しいのはこのゴージャスなジェネピーの量も大きいのだろう。
・リキュール用アルコール 1 リットル
・山の水 1 リットル *なければ町の水でもOK
・砂糖 120g
*一般にネットで出回っているレシピだとこのアルコールと水の量で砂糖400g前後であることが多いが、お砂糖の量は800gから100gまで人によって様々。
出来上がりから評価して、パオラの作るジェネピーは良い分量だと思います。
市販のジェネピーのリキュールは甘過ぎ。
<作り方>
1・ジェネピーをリキュール用アルコールを入れた密閉容器に投入する。
2・このまま冷暗所に40日間放置する
3・40日目に、分量の水と砂糖を煮立てる。
4・3が冷めたら2に流し込む。
5・そのまま10日間なじませ出来上がり。
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この伝統的なジェネピーをアルコールに浸す方法だと2日目3日目に
アルコールがこんな蛍光色の黄緑になります。
そして徐々に落ち着いた色に変わっていきます。
標高2771mのペリン湖。
最近ではここまで登っても野生のジェネピーは見つからない事が多い。(涙)
白いジェネピー・リキュールを見つけた日のサイクリングで行った
ヴァレード(Varedo)の巨大なバガッティ・ヴァルセッキ邸(Villa Bagatti Valsecchi)
の長い長いアプローチ
ミラノ市中心部には同族の美術館もあり有名です。
https://museobagattivalsecchi.org/en/visit
私がここで利用した乾燥ジェネピーと同じものがネット購入も可能なようです。
に興味のある方、サイトはこちらです。この一袋を使用しました:
https://www.tascapan.com/prodotto/piantine-di-genepy-valle-daosta-da-emy/
カルロスとは昔頻繁に会っていた時期があったけれど、今ではたま~に忘れた頃に連絡がある程度の友達。
お父さんはミラネーゼ、お母さんはマドリッド出身のハーフなので、以前日本料理&スペイン料理のランチを二人で企画した時に本場スペインのサングリアのレシピももらっているので、そのうち投稿しますね。
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