2023年12月19日火曜日

マンマ・ピーナのためのレッドチコリ、チーズ、アンチョビの新前菜とプラダ財団パーティーの定番カナッペ



さて今年の大勢の会食の前菜は新開発の前菜1点とNOTEで仕入れた2つの前菜を我流にアレンジしたものと書きましたが、新開発といってもこのラディッキオ、フォンティーナチーズ、アンチョビの前菜は元々は今年の早春、ピーナを招待するときに考案したもの。

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新型コロナの最初のロックダウン中にタミーのお父さんが亡くなり、以前何度もお家に呼んでくれたお母さんのピーナを励ますために一度うちで食事をと約束しながら、そろそろ招待をと思う矢先にいつも感染者が急上昇し、2年以上も先送りにしてしまった。


友人のマンマ=お母さんと言っても、タミーは私より数歳若く、お母さんはかなり若い時にタミーを産んでいるので、概ね私の年上の友達のお姉さんくらいの年齢。


ピーナは、うちの母のように親の威厳云々というタイプではなく、とても穏やかで可愛い人柄でいつも身だしなみも整えているので、さらに若く見える。

友達付き合いをしても不思議ではないような人だ。


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食事に招待するにあたり問題なのはタミーもピーナも稀に見るお料理上手だということ。

なので食事に招待するにはメニューに悩む。


伝統イタリア料理では絶対にかなわない。


純粋日本料理でも一世代上のイタリア人には難しい事があるからそれも不可。


だから、何か創作料理でないと。


タミーは私にイタリアンと和食のフュージョン料理をさせようと、「枝豆とお味噌のリゾット」などという変なレシピをどこかの雑誌から見つけて来て「こんなのどう?」などと言っている。


「枝豆とお味噌の取り合わせって変じゃない?」と私。やはり枝豆には塩よね。

やたらに目新たらしい取り合わせをすればいいというのは創作料理とは呼ばず、ただのごった混ぜ。料理の女神タミーも和食の食材となると感が狂うみたいだ。


イタリア料理は創作物でも暗黙のルールがある。どこにも書かれてはいないこのルールがわかるまでに普通10年以上はかかる。

その範囲でオリジナルの新レシピを開発しなければいけない。


結局メインはお醤油と鰹出汁を使わない胡麻タレでいただくしゃぶしゃぶにするが、前菜は新しいものをいくつか作ることにする。


レシピ開発過程とNOTEで仕入れた新レシピの我流アレンジの詳細はレシピの後に。


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材料写真


<材料> 約14枚分


・ラディッキオヴェローナ 中 1個

*日本ではレッドチコリと呼ばれる野菜とよく似ています。全く同じかは不明。


・フォンティーナチーズ  55ー70g

*フォンティーナチーズ が高額だったり見つからない場合は「とろけるチーズ」でもOK


・オイル漬けアンチョビ数枚


・オレンジ 皮にワックスを塗っていない自然もの 1個


<調味料>


なし


<作り方>


1・ヴェローナのラディッキオ(レッドチコリ)は一枚ずつ丁寧に剥がし、よく洗い、乾かし、並べます。

今回は中サイズのラディッキオで約14枚の大き過ぎず小さ過ぎない葉っぱのボートが取れました。



2・チーズを細長くラディッキオの葉の数だけ切り1に乗せます。

・・一切れ4-5gが目安。





3・オイル漬けアンチョビは小さめに切り2の上に一切れ乗せます。

・・アンチョビは味が強いので大き過ぎないように注意



4・オレンジの皮を皮剥き器で薄く剥いた皮を、
幅約3ミリに細長く切り、3の上に4、5本乗せます。




*生のヴァージョンではこのまま大皿に盛り、テーブルに運びます。

・見た目は生の方がラディッキオの色が綺麗です。



5・オーブンで焼く場合180度のオーブンで数分チーズが溶けるまで焼き、熱々を食卓に運びます。










5-1・数が少ない時は蓋をしたフライパンでチーズが解けるまで弱火で温めるのでもOK。

*この方がオーブンで焼くよりラディッキオの色が綺麗に仕上がります。





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レシピ開発出発点


簡単で喜ばれる前菜に。一般的にinsalata belga (ベルギーのサラダ菜)と呼ばれるCicoria witloof(ウィットルーフのチコリ)の「ボート」の上にゴルゴンゾーラのピッカンテと松の実を乗せたものがあります。

そんな感じでイタリア産の野菜でもっと美味しいものができるはず、というのが出発点。


ベルギーのサラダ菜


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ラディッキオとチーズの取り合わせ


「ラディッキオ」または「ヴェローナのラディッキオ」というイタリア北部ヴェローナ(シェイクスピアのロメオとジュリエットの舞台になった街)が原産のちょっと苦味がいい感じの野菜を「ボート」つまりベースとして使います。



ラディッキオ ヴェローナ

http://www.radicchiodiverona.it/


ある日冷蔵庫にラディッキオが余っていた。毎年夏にマスコーニャッツで買って冬に食べるように冷凍しておくフォンティーナチーズも1辺あったので乗せてみる。結構相性がいい。

これは使えそう。

でもこれだけでは少し物足りない。


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プラダ財団のオープニングパーティーの定番カナッペからのヒント


そこでミラノのプラダ財団のオープニングパーティーを思い出す。


ミラノで万博のあった2015年に開館した美術館プラダ財団(そうです、あのファッションブランドのプラダ所有のファインアート美術館です。税金対策かも。)何か新しい展示会があるたびにカクテル付きのオープニングパーティーの招待が来ます。

人数限定で同伴者は一人までと厳しい。


プラダ財団の展覧会は非常に丁寧にキューレートされたものが多く、毎回楽しみにしているのですが、普通にチケットを買うと2500円くらいするので、ケチな私はタダで展覧会が見れ、かつアペリティーボもできるオープニングパーティーに行って展覧会を見るようにしています。





南側に隣接するオリベッティ広場からプラダ財団を見た写真

元オリベッティの工場だった部分の改装も、新築部分も

オランダのスター建築家レム・クールハースによるもの


左写真の白い建物は3年遅れてオープンした新設タワー

右写真の既存の建物に金彩したのもプラダ財団

左右写真低層部は元オリベッティの工場が

ほぼそのまま展示スペースになっています。



裏に光の入っている大理石製の新設タワーエレベーターとエレベーターボーイ。

美術館というよりはファッション・ブティックみたい。

まあ、プラダ財団ですからね。



地下クロークもシック


ミラノのプラダ財団の敷地は19000平米で

建築だけでも他にも見所は盛り沢山あるのですが

今、手元に良い写真が見つからないので今回はこの辺で。



ただプラダ財団のオープニングパーティー、スプマンテやビールなどのドリンクと一緒に出されるおつまみに疑問を持たないわけにはいかなかったのです。


何故って開館から5年以上決まって2種の定番のカナッペだけがひたすら繰り返し出され続けていたのです。


コンテンポラリーアートの美術館のオープニングパーティーって最先端のクリエイティブが集まるはずじゃ?。。。5年以上同じカナッペって?

「またこれ?ちょっとどうよ。」と思いました。


やっと最近、コロナ明け頃からおつまみが代わり、種類も増えました。


5年以上続いた2種の定番のカナッペはどちらもパンカレと呼ばれる食パンを約5cm角に切ったベースにバターが塗られ、


一つはきゅうりの輪切りが乗っていた。

これを美味しいと思ったことは一度もない。


もう一つはちょっと面白い。

同様にバターが塗られたパンの上にレモンの輪切りを1/4に切ったものが乗っているのだがレモンとパンの間に小さなアンチョビが一切れ入っていた。面白い味の取り合わせ。


バター=乳製品 >> チーズに置き換えても良い?


レモン=柑橘類 >> オレンジに置き換えても良い?


オレンジはラディッキオと相性が良い。

発祥地はどこか不明ですがオレンジとラディッキオのサラダというのもあります。


オレンジはアンチョビとも相性が良い。

シチリア料理ではオレンジとアンチョビのサラダというのもあります。


友人関係でもそうですが相性が良いものと相性が良いものは相性が良い事が多いですよね。


なので、アンチョビも加えることにします。


***


そこで


・ヴェローナのラディッキオの上に


・マスコーニャッツのフォンティーナチーズを一切れ乗せる


・さらにオイル漬けのアンチョビを大きさを加減してのせる。


・柑橘類はオレンジの皮を細切りにしたものを数本載せる。


彩も味の取り合わせもなかなか微妙な良いバランス。


***


これはこのまま生でも美味しく食べられます。


でも、フォンティーナチーズは加熱してとろりととろけるのも魅力。


なので、180度のオーブンに数分入れてみる。


数が少ない時は蓋をしたフライパンでチーズが解けるまで弱火で温めるのでも良い。


これもまた美味しい。


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タミー、ピーナ、エンリを招待した日は生のものとオーブンで焼いた2ヴァージョンをサーブし、どちらも好評でした。


個人的な好みで言うと、見た目は生、味はオーブンで焼いた方に1票。



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その他の二つの前菜


自己開発以外のレシピはNOTEに投稿されている「江田島キッチン」さんのレシピを我流にアレンジして起用させていただきました。


江田島キッチンさんは私がノートをはじめて間も無く、まだフォロワーが一人(?)だった頃にフォローくださったので投稿を覗いてみましたら、とても興味深いレシピを色々投稿されています。


NOTEでレシピを書いていらっしゃる方々の中には色んな方がいて、中には「カルボナーラのベーコンをバターで炒め、」なんて、、、、「ベーコンを」「バターで炒める」??!!読んだだけで胃が痛くなり、早死にしそうなものもあります。


まあ何かを美味しいと感じる事は、何かを美しいと感じることと同じで「自分が好きかどうか」が最大の焦点ですが。。。


傾向としては日本の洋食のレシピはやたらになんでも入れて何食べてるのかわからなくなるようなものが多いように思えます。そんな中、イタリアで修行されたという江田島キッチンさんのレシピはどれも素材ひとつひとつの味が生きていて、かつ食材の取り合わせが新鮮です。


プロの方なのにこんなふうにレシピ公開していいのかしら?なんて余計な心配もしてしまいます。


NOTE開始からほぼ半年、今の所NOTEを始めた最大の収穫はこの方のレシピに出会えたこと。


投稿記事への質問で短いコメントを交わしたところによると、奥様は私と同業者だそうで、さらに親近感が増します。



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使わせていただいたのはこの「柿のマリネ」を我流にアレンジしたもの。

https://note.com/manabu_ueno/n/nb44d1f5a5fee


我流アレンジは:


・アールグレーが手元に無かったので煎茶を砕いたものに置き換えました。

 柿との相性は緑茶も良いです。


・手元にタラッサコと呼ばれる癖のあるたんぽぽの蜂蜜の大瓶しかなかったのと、柿がとても甘かったので甘みを足すのはやめて塩少々とオリーブオイルで仕上げました。


・生姜は半分小さく線状に切り、もう半分は下ろしました。


今あるタラッサコのハチミツを使い切ったらオリジナルのレシピを是非試してみたいと思っています。



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もう一つの前菜も「江田島キッチン」さんのレシピで「じゃがいものサラダ仕立て」をレシピを我流にアレンジしたもの。

https://note.com/manabu_ueno/n/n8f72442ba543


我流アレンジは:


こちらは最初、指定通り白ワインヴィネガーを使ってみましたが、酸っぱいものが好きなので勝手に量を増やしたのと、安物のワインヴィネガーしか手元に無かったので少し鼻につき、カバー写真でライムが添えられているのをヒントに、白ワインヴィネガーをレモン汁に置き換えました。

酸っぱいものが好きなので、ジャガイモ300gにレモン汁半個も入れてしまいました。


形状は、大勢分作ったので手間を簡略化するために卵豆腐の型の大1個、小2個を使用してサイコロ状に仕上げました。



サイコロ状の江田島キッチン・ポテト


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どちらも好評でした。❤️


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